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「おい、まだ生きてんのかよ、雑魚」
また岸田が蹴りを入れる。遥は痛みでうめくが、声が嗤い声にかき消される。身体は重く、頭の中は混濁している。
「ほんとにクズだな、お前って。血だらけでも気持ち悪いだけだ」
岸田が指を突きつけ、顔をのぞき込む。その視線は冷たく、軽蔑に満ちている。
(……なんで、俺はいつもこんな目に……)
膝をつき、頭を抱えて小さく震える。声を上げたいのに、嗤い声の中では声にならない。
「泣けよ、泣けば少しは可哀想に見えるかもしれねえな」
「いや、見えるだけじゃねえ、もっと痛めつけろ」
次々と加わる声。遥は身体を丸め、痛みと羞恥で息が詰まる。
「お前、ほんとに人間のクズだな」
「雑巾みたいに汚いな、舐めるか?」
口々に浴びせられる言葉は残酷で、頭の中で何度も反響する。
(……俺、何で生きてるんだろ……)
痛みと羞恥と無力感が絡み合い、自己否定の思考が押し寄せる。膝の血と床の破片が混ざり、遥の手は震えるだけで何もできない。
「立てるか? いや、立てねえだろ、ほら頭打ってるし」
「おい、まだ泣かねえのか、雑魚め」
加害者たちは笑い、楽しんでいる。遥の存在がただの遊び道具でしかないことを思い知らされる。
(……俺は何をしても……ダメだ……)
小さな声が漏れる。嗚咽のような、呻きのような声が、周囲の笑いに混ざって消えていく。
「おい、もっと痛めつけろよ、せっかくここまでボロボロなんだから」
「いや、ほら、もう顔も血だらけじゃねえか。見てられねえよ」
言葉と暴力の連鎖。遥は膝を抱え、身体が硬直する。痛みの中で頭が割れるように響き、羞恥が心の奥まで押し寄せる。
(……どうして……いつも……こんな……)
自問は答えのない問いとなり、涙がこぼれる。誰も助けてくれない。誰も、見てすらいない。
「お前なんて、生きてる価値ねえよ」
「ほら、また頭打て、痛みで泣け」
最後の一撃が加わる。遥の身体はもう自分のものではなく、痛みと羞恥で支配されるだけだった。
内心での絶望、自己否定の声が膨れ上がる。身体的な痛みはもちろんだが、それ以上に心が抉られ、誰もいない世界に取り残されたような孤独感に震える。
遥はただ、床に膝をつき、頭を抱えて嗚咽するしかなかった――声は聞こえても、誰も救ってはくれない。