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昼休み。弁当を広げようとした瞬間、隣の机から弁当箱が押し込まれ、
ご飯が床に散った。
「あーあ、床飯の人だ。衛生的じゃないから、もう食うなよ」
声は大きく、他の机の会話が止まる。
「っていうか、お前さ……食ってる時の顔、ほんと吐きそうになる」
「わかる。クチャクチャ音してるし、あの目がさ……人間の目じゃない」
遥が片付けようとしゃがむと、後ろから水筒の水をこぼされた。
制服の背中を伝って、腰の辺りまで冷たさが染みる。
「おー、また水死体完成。今日2回目じゃん」
「さっきの写真と並べたら“生き返らないやつ”ってタイトル付けられるな」
女子グループがわざと机の上で香水を吹き、
鼻をつまむ仕草を見せる。
「……ほら、匂い消し。だってこの席、湿気とカビの臭いするんだもん」
「ていうか、なんでお前の息ってあんな生臭いの?魚食ってないのに」
机の引き出しから、誰かが遥の筆箱を引き抜き、
中身を机の上にばらまく。
シャーペンや消しゴムに、
赤ペンで「キモ」「廃棄物」「目合わせ禁止」などが書き足されていた。
その様子をスマホで撮る音。
「明日までにこれ、クラス全員のグルチャに貼っとくから」
「“使用禁止文房具”ってタグつけとこ」
笑い声に混じって、
「生まれたのが間違い」
「息してるだけでムカつく」
「どうせ親にも嫌われてるんだろ」
そんな言葉が平然と飛び交う。
一つひとつが、胸の奥に杭を打ち込んでくる。
遥は机に置いた手の震えを押さえようと、
爪を食い込ませた。
痛みはあったが、それすらも笑いの理由にされるのがわかっていた。