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買い物袋を抱えて帰る途中、晃司の友人たちの影が見えた。遠くからでも、いつも通りの笑い声と悪意のあるざわめきが耳に届く。俺は小さく息を飲み、足を速める。だが、友人たちは俺の進路を遮るように立ちはだかり、袋を軽く揺らして笑った。
「お、来た来た。晃司の小間使い、今日も元気そうだな」
友人の一人が袋を軽く叩く。中身が少し飛び出し、俺は咄嗟に腕で押さえる。
「ちょ、すみません……!」
小さく声を出すと、晃司が前に出て眉を吊り上げた。
「何してんだよ、お前! もっと丁寧に持てって言っただろ!」
怒声とともに、肩を強く叩かれ、俺は体ごとぶつかる。息が詰まる。
友人たちは輪になって囲み、俺を押さえつける。袋を取り上げ、軽く振り回す。そのたびに中身が落ちる音が響き、俺の心臓は強く打つ。
「……や、やめ……ください!」
小さな叫びも、笑い声でかき消される。
そのとき、俺は思わず手を伸ばし、落ちそうになった袋を抑えた。だが、その手が偶然、晃司の友人の顔に当たってしまった。
「おいっ!」
晃司の声が雷のように響く。瞬間、周囲の笑い声は止まり、空気が張り詰める。
「なにしてんだよ、コラ!」
そのまま腕を掴まれ、地面に押し倒される。友人たちは輪を狭め、肩や膝で俺の動きを封じる。
「お前……ふざけんな!」
晃司の目が怒りで赤く染まり、手が俺の背中や腕を打つ。痛みで全身が震える。
「……ごめ……」
咄嗟に謝る声も、晃司の怒声にかき消され、代わりに膝蹴りや掌打が続く。俺は痛みで口をつぐむしかない。
「もういいだろ、少し休め」
友人の一人が声を出すが、晃司は首を振り、手加減せずに追い打ちをかける。
「お前、ほんとに俺を舐めてんのか? 見せてみろ、その態度!」
言葉と暴力が交互に襲い、俺は息を詰め、ただ耐えるしかなかった。
地面に押さえつけられ、腕や肩が痛む。袋の中身は散乱し、靴の泥が混ざる。視界の端で、友人たちは笑いながら手を出し、俺の頭や背中を軽く叩く。
「……もう……やめ……」
弱々しく呟く俺の声も、晃司は無視し、さらに膝で背中を押さえ、額に拳を打ち込む。痛みで意識が揺らぎ、呼吸も乱れる。
「お前、ほんとに使えねえな……」
晃司の声は冷たく、切れる寸前の殺気を帯びていた。
俺は何も言えず、ただ自分の無力さと痛みを受け止めるだけだった。