テラーノベル
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放課後の教室。カーテン越しに差し込む夕陽の中、大地は机に突っ伏していた。
「ふー、今日も全力で笑ったなぁ……」
そこへすっと近づいてきた影。顔を上げると柊が立っていた。
「お疲れ、大地。よかったら一緒に帰らない?」
「おっ、いいね! 俺ちょうどコンビニ寄りたかったし!」
無邪気に笑って立ち上がる大地に、柊は自然な動作で肩をぽんと叩いた。
「お前、ほんとおもしれーわ。見てて飽きない」
「え? 褒められた!? やったー!」
大地はガッツポーズ。
その瞬間、ガラッと勢いよくドアが開いた。
「――大地!」
息を切らして飛び込んできたのは隼人だった。
「は、隼人? どうしたんだよそんなに焦って」
「どうしたもこうしたもあるか! ……なんで柊と二人で帰ろうとしてんだよ!」
「え? だって誘われたし」
「即答すんな! 俺だって帰り一緒に――」
隼人は慌てて口をつぐむ。
柊がにやりと笑った。
「なんだ、隼人。お前、大地のこと気になるのか?」
「はあ!? だ、誰がこんなやつ!」
「こんなやつってひどい!」
大地はツッコミを入れつつ笑っている。
隼人は真っ赤になって柊を睨んだ。
「……お前、わざとやってんだろ」
「さあな。ただ、大地といると楽しいのは本当だぜ?」
「っ……!」
隼人のこめかみがピクピク震える。
廊下の隅では、萌絵と涼が身を潜めて見守っていた。
「きたきたきた! 修羅場フラグ!」
「これは三角関係どころかバトル勃発だな」
「尊い……尊すぎる……!」
萌絵は小声で叫び、涼は「落ち着け」と言いながらもニヤニヤが止まらない。
教室の中。大地は二人の空気の重さに全く気づかず、能天気に手を叩いた。
「じゃあ三人で帰ろうぜ! そのほうが楽しいじゃん!」
「「誰が三人で帰るか!!」」
隼人と柊の声がハモった。
大地は「えー?」と唇を尖らせるが、すぐに「まあいっか!」と笑顔に戻る。
一方、隼人の嫉妬は抑えきれず、柊の挑発はますますヒートアップ。
夕焼けに染まる教室で、奇妙な三角関係が本格的に動き出そうとしていた。
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