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晃司が部屋を出て行った後も、友人たちは残り、俺をじっと見下ろして笑っている。床に座り込み、身体を震わせながらも、俺は口をつぐむ。声を出せばまた叩かれ、罵られることは分かっている。だから、黙ったまま床の上で頭を抱える。痛みと屈辱が、体のあちこちでうずく。
「ま、いいや。お前はこれで覚えろ」
晃司の声が廊下の向こうから聞こえた。友人たちはそれに合わせて軽く肩を叩き、俺の存在を確認するように周囲を囲む。視線の重圧だけで、体がさらに縮こまる。
その日以降、晃司は俺に対して徹底的な「躾」を始めた。朝から晩までの雑務、食事の制限、水の管理、そして罰としての軽い殴打や押さえつけ。友人たちはその補助として、命令を伝える役割や、俺を揺さぶる役割を担う。何もかもが監視下で行われ、息をつく間もない。
俺は声を出さず、ひたすら従うことで、自分の存在を「小さく」しようとした。反抗すれば痛みが増し、恥も増えることを知っている。だから、膝をつき、手を組み、淡々と与えられた動作をこなす。友人たちが笑いながら「もっと速く」「ちゃんとできてるか」と口を出すたびに、内心で自己嫌悪が膨れ上がる。
「お前、もう少し頭下げろ。見てる奴が楽しくなる角度でな」
晃司が言う。俺は小さくうなずき、顔を下げる。視界の端で、友人たちの笑みが俺を嘲るのが分かる。羞恥と痛みが絡まり合い、自己嫌悪の炎を燃え上がらせる。
昼食の時間も、俺にはほとんど与えられなかった。友人たちは残り物や自分たちの食事をつつきながら、時折俺に何かを投げつける。パン屑、少量の水、空き缶――どれも「生きるための最低限のもの」ではなく、俺をもてあそぶ道具に過ぎない。口にするたび、身体の震えと吐き気が混ざる。
「水が欲しいのか? そんなに欲しいなら、少しだけやるぞ。でも、俺の言うこと聞いてからな」
晃司は低く笑う。その声に、俺の喉は乾きと羞恥で詰まりそうになる。結局、水を口にできるのは、彼が満足する命令に従った後だけだ。
夜になると、雑務はさらに増えた。床の掃除、家具の移動、庭の整備。友人たちは俺を見張りながら、ちょっとした失敗を叩く材料にする。
「そこ、掃き残してる」
「もっと腰入れろ」
叫ばれるたびに、背中に衝撃が走り、内心で「俺はやっぱりダメだ」と呟く。声には出さない。出せばさらに叩かれる。
そんな生活の中で、俺の思考は極限まで自己嫌悪に支配される。怒りを相手に向ける余裕も、反抗する気力も失せ、ただ「やらされる」存在として振る舞うしかない。けれど、心の奥底には、子犬のことや自分の無力さに対する痛みが、静かにずっと残っている。
晃司たちの躾は一日の終わりで終わるわけではない。翌日も同じ時間に起こされ、同じ監視の下で命令を受け、身体と心は完全に疲弊させられる。友人たちも加わることで、孤立感はさらに増す。家全体が「俺の居場所のない空間」と化し、声を出せば痛み、黙れば羞恥、どちらにせよ自己嫌悪が増幅される。
俺は床に膝をつき、手を組み、ただ時間が過ぎるのを待つ。痛みも屈辱も、すべて自分のせいだと思う。抵抗する気力はほとんど残っていないが、内心では、どこかでほんのわずかに、誰かにこの苦しみを理解してほしいと願う気持ちもある。その願いは、声にならず、ただ胸の奥で小さく震えているだけだ。