コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
教室を出ると、廊下には冷たい風が吹き抜けていた。外に出る気配を察した瞬間、遥の心は凍る。
「おい、外行くぞ。服はそれだけでいい」
男子の声。スカート一枚、薄いトップスだけを着せられている。足元は裸足。ウィッグの髪が風に揺れ、肩に冷たい風がまとわりつく。
「……ま、まって……」
言葉は出るが、どうにもならない。教室の仲間たちは嗤いながら手を叩く。
「寒そうだな。 見せ物にぴったりだ」
「ちゃんと歩けるか確認だな」
一歩足を踏み出すたびに、冷たい廊下の床が足裏に刺さる。震える足を無理やり引きずるようにして外に出されると、肌を刺す風がさらに痛い。遠くから通行人が目に入り、また嗤いが増す。
「もっと胸張れ! 笑顔も忘れんなよ!」
「その顔、固まってる。 演技が足りねえな」
男子の声に追い立てられ、無理やり笑顔を作る。肌が冷たさで硬直し、呼吸が浅くなる。足元の痛みと寒さが、身体全体にじわじわと広がる。
「なあ、手つないで歩けよ、観客サービスだ」
無理やり隣に並ばされ、手を握られる。手のひらの冷たさと羞恥が絡み合い、息が詰まる。通行人の視線、嗤い声、仲間の指示。全てが混ざり合い、逃げ場はない。
途中で男子がスマホを取り出し、動画を撮りながら命令する。
「もっと膝曲げろ。女らしく歩け」
「声出せよ、寒さで震えてるのが面白い」
寒さに震える身体に合わせて無理やり動かされ、ウィッグの髪が風で乱れれば、また嗤い声が返ってくる。足裏は冷たく、痛みで泣きたくなる。しかし、泣くことも許されない。声を押し殺し、笑顔だけを作るしかない。
通行人が立ち止まり、チラリと見れば男子たちは拍手しながら指示を飛ばす。
「ほら、もっと見せろ。寒そうにしてると面白いんだ」
「次はスカートもっとめくれ!」
ウィッグの髪を触られ、肩を押され、薄いトップスの裾をつままれる。寒さで震える体に容赦なく手が触れ、羞恥と痛みが同時に襲う。遠くから見ている仲間の嗤い声が、自分の存在そのものを笑いものにしているように感じる。
一歩ごとに痛む足、刺すような風、仲間の命令。冷たい地面と冷たい視線が、遥の身体だけでなく心まで凍らせる。逃げる場所はなく、ただ「笑顔を作れ」と命じられる。
そのまま校庭を一周させられ、再び教室に戻ると、汗と冷えで全身が硬直している。だが、嗤い声は止まらない。男子はスマホで動画を確認し、さらに仲間たちに見せる。存在そのものが娯楽にされ、身体と羞恥だけが晒される。
遥は無言で立ち尽くす。足は赤く、冷たさで痛みが抜けず、心も身体も引き裂かれそうだ。だが、何をしても、この羞恥と痛みからは逃れられない。周囲の嗤い声、通行人の視線、仲間の指示。すべてが、遥を縛る鎖となって絡みつく。