テラーノベル
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朝の教室。隼人が悪戯っぽく笑って、大地の机を廊下に隠した。
「よし、これで慌てる顔が見れる……」
隼人はにやり。
だが、大地は教室に入るなり机がないのを見て、両手を合わせて深呼吸した。
「机くん……ついに旅立ったのか……!」
「は?」
クラス中が静まり返る中、大地は床に正座しはじめた。
「待つよ。俺は机くんが帰ってくるのを、ここで忠犬のごとく待つ!」
先生が入ってきて固まった。
「おい、なにやってんだ大地」
「師匠! 俺は机くんを信じます! 友情は裏切らない!」
教室大爆笑。隼人は顔を押さえた。
「なんでだよ……普通困るだろ!」
「困ってるよ! でも机がいないから、俺が困ってる姿を見せるのが机への最大の礼儀!」
「意味わかんねぇ!」
後ろの席で萌絵が真剣にメモを取りながら呟く。
「……これは“机を通じて愛を誓う隼人大地”……萌える」
涼も淡々と頷く。
「ジャンルは“家具愛BL”。新しいな」
「お前ら! 黙ってろ!」
隼人の声も、笑いと騒ぎでかき消された。
机は結局、隼人自身が戻すことに。
「……もう二度と隠さねぇ……」
「机くん帰ってきたー!」
大地が満面の笑みで机を抱きしめた瞬間、クラスはまた爆笑に包まれた。
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