昼休み。いつものように隼人は大地の机に肘をつき、ニヤニヤしながら絡んでいた。
「お前さ、ほんっとバカだな」
「えへへ〜、褒められちった!」
クラスがどっと笑いに包まれる。大地が天然ボケをかますのは、もはや日常の光景だった。
ところが、その空気を切り裂くように、ひとりの男子が立ち上がった。
「……なぁ、大地」
その声に振り向いた大地と隼人。
真剣な眼差しを向けてきたのは、スポーツ万能で成績も上位、隼人と並んで人気のある柊だった。
「俺さ──お前のそういうとこ、好きだわ」
教室が一瞬静まり返る。
次の瞬間、どよめきと悲鳴。
「えっ!?」
「告白!?」
「マジで!?」
大地の口が大きく開いた。
「え、えぇぇぇっ!? ちょ、待って、いきなり!? オレ台本もらってないんですけど!」
机を叩きそうな勢いで立ち上がったのは隼人だった。
「はああああ!?!?」
柊はにやりと笑って、隼人を挑発するように視線を投げる。
「前から思ってたんだよな。俺、大地と一緒にいると楽しい。……だから、俺がもらってもいい?」
「なっ……!」
隼人の拳が机を揺らす。
一方、腐女子の萌絵は目を輝かせていた。
「きたきたきたきたあぁぁぁ!!三角関係爆誕ッ!」
涼は冷静にノートを開きながら頷く。
「しかも隼人にケンカ売る形。これは熱い展開だな」
「おいお前ら実況すんな!」
隼人が叫んでも、教室はすでに大騒ぎ。
大地は頭を抱え、オーバーに叫んだ。
「オレの価値って今そんな奪い合う系!? モテ期? ついに来ちゃった!? ……って、やめて! 胃がもたれる!」
教室全体が爆笑と興奮で揺れる中、
柊と隼人の視線は火花を散らし続けていた。
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