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午前の光が差し込むリビング。遥は床に膝をつき、手を組んで俯いていた。怜央菜とその友人たちはソファや椅子に腰掛け、悠々とした態度でスマートフォンを弄っている。
「さ、今日も遊んであげる。怯えてる顔、もっと見せて」
怜央菜の声は甘く、だが突き刺すように鋭い。
「……な、何するつもり……」
俺の声は震え、喉の奥で引っかかる。
「まずは礼儀よ、床に座る姿勢、正して」
友人のひとりが言い、肩に手を添えて背筋を伸ばさせる。
「うるさい……」
小さく呟く俺に、怜央菜はニヤリと笑う。
「へえ、口答えもできるんだ。可愛いじゃん」
友人の一人が俺の肩を軽く押さえ、もう一人が髪を掴んでゆっくりと頭を上げさせる。
「怯えて。感じて。自分がどれだけ無力か」
怜央菜の言葉が部屋中に響く。
「……俺、なんで……」
俺は呟く。声にならない問いが続く。
「ねぇ、どうして私たちに従わなきゃいけないの?」
「それは、あんたが弱いからよ」
怜央菜が静かに返す。友人たちも口々に笑う。
怜央菜は机の上のノートを手に取り、俺の目の前に差し出す。
「今日は、あなたの“全部の過去の失敗”を思い出させるわ」
ノートには、俺がこれまでやらかした小さなことが事細かに書かれていた。友人たちも覗き込み、くすくす笑う。
「見ろよ、こいつ、すぐ顔を伏せる」
友人の声が飛ぶ。
「でも怜央菜が楽しんでるなら、俺たちも手伝うしかねぇな」
別の声が続く。
「もっと恥ずかしい顔して。泣いてもいいんだよ」
怜央菜は手を顎に当て、上から見下ろす。
俺は拳を握りしめる。だが怒りを加害者に向ける余裕はない。自分を責めるしかない。
「……俺、また……失敗して……」
「ふふ、自己嫌悪って美しいね」
怜央菜の言葉に、友人たちも笑い声を重ねる。
「いや……お願い……やめ……」
言葉にならず、半分泣きそうになりながら手を前に伸ばす。
「お願いって……私たちが楽しいだけで、あんたは何も楽しくないのよ?」
怜央菜は笑みを浮かべたまま、指を一振りして友人たちを促す。
友人たちは俺の耳元で囁く。
「ほら、もっと縮こまれ」
「声、震えてるな」
「……でも、もう……嫌だ……」
俺は絞り出すように言う。
「嫌なのはいいのよ、でもその気持ちを全部私たちに晒して」
怜央菜が命じる。
時間が止まったように感じる。目の前には笑い声と、圧倒的な数の視線。
俺の全身に力が入らず、胸の奥で自分を責める声が絶え間なく響く。
「自己嫌悪に溺れて、恥ずかしがって……いいね、もっと見せて」
怜央菜は冷酷に言い放つ。
俺はただ、声にならない声で 「……ごめん……俺……」と繰り返すばかり。
友人たちも輪になり、スマートフォンでその様子を映し、さらなる心理的圧迫を加える。
怜央菜の指示は途切れず、俺の心は自分を責める声で満たされ、逃げ場はどこにもない。