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部屋の隅に座り込む。肩は小さく震え、手は床に貼りつくようにしている。痛みや羞恥、怒りや絶望がぐちゃぐちゃに絡み合い、心の中で声にならない声がうずまいていた。
「どうして……俺はいつも……」
声に出しても意味はない。誰も答えてはくれないし、答えが返ってきても、自分の価値が変わるわけではない。
過去の痛みが次々に呼び起こされ、熱湯や剥がされた爪、焦げた髪の記憶が鮮明に刺さる。身体の痛みだけでなく、心の奥にまで深く突き刺さる感覚。
目の前の誰かが笑っていると、何をしたら満足するのかが全く分からない。表情を読もうとしても、加害者の意図が理解できない。
「……どうすれば……」
考えても、正解はない。どう動こうと、痛みと屈辱は繰り返されるだけだ。
体を縮めると、ほんの少し楽になる気もするが、恐怖は消えない。怒りを表すこともできず、悲鳴を上げても反応は嗜虐的な嘲笑に変わる。
だから、口をつぐみ、ただ短く切迫した声で懇願するしかない。
「やめて……痛い……」
でもその声すら、正しい反応なのか分からない。期待に応えているのか、間違っているのか、見極める術もない。
誰も愛してはくれなかった。求めることも、期待に応えることも、理解されることもない。だからこそ、心の奥に渦巻く感情を誰にも見せず、ただ耐え続ける。
この小さな体の震えや嗚咽は、外から見れば弱さかもしれない。けれど、内側では必死に自分を守るための戦いが続いている。痛みと恐怖、羞恥に覆われた世界の中で、遥はただ、生き延びるために反応を選んでいる。
外に出れば、いつも通り冷静で従順な顔を作る。誰にも本当の痛みや恐怖は見せない。けれど内面では、過去の虐待やいじめの痕跡が深く刻まれ、決して消えない。
それでも、体が震え、涙がこぼれる瞬間、遥は自分がまだ生きていることを、痛みと絶望の中で感じるのだった。