テラーノベル
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「てめぇ、ほんとムカつくんだよ!」
教室の隅から、遥に向けられた怒声が響く。目は血走り、口元には唾が飛び散るほどの憎悪が滲んでいた。
「何でお前なんかが、ここにいるんだ!」
言葉の矢が身体を貫くように、遥の胸を押し潰す。必死に震える体を守ろうと両腕を上げるが、その瞬間、岸田は勢いよく彼の頭を掴み、窓ガラスに押し付けた。
ガツン——。
硬い衝撃と同時に、鋭い痛みが額とこめかみに走る。目の前が一瞬赤くぼやけ、血の味が口の中に広がった。
「なんだ、そのビビり顔……笑えるじゃねぇか」
岸田の怒号と嘲笑が入り混じる。だが遥は声を上げることもできず、ただ頭の痛みに身をよじらせる。
再び力任せに押し付けられた瞬間、ガラスにひびが入り、ついにはパキン——という鋭い音とともに窓の一部が割れた。
「おい、顔やべぇぞ!」
仲間の声が飛ぶ。しかし岸田は止まらない。怒りに任せ、遥の頭をさらにガラスに叩きつける。血が額を伝い、眼球の奥で痛みが炸裂する。
遥の身体は衝撃でよろめき、床に膝をつきそうになる。手を窓枠に押し当てて何とか支えようとするが、血と痛みで視界が滲み、呼吸は荒くなる。
「ほら、泣けよ。こんな顔されると腹立つんだよ!」
岸田の言葉は、肉体的な痛み以上に精神をえぐる。遥は涙をこらえながら、震える唇で必死に息を整える。
窓ガラスの破片が床に散らばり、遥の頭から滴る血と混ざる。胸の奥から絶望が湧き上がり、身体の痛みと羞恥と恐怖が渦巻く。
「俺、なんで……こんな……」
声にならない呟き。誰も助けてはくれない。加害者たちはただ笑い、興奮と怒りを増幅させる。遥の存在そのものが、彼らにとって“面白がる対象”になってしまっていた。
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