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コメント
14件
やーん♡めっちゃときめく😍😍 2人がとっても良い雰囲気💗 グイグイ攻める透也さんにドキドキです(,,> <,,)
二人とも素敵~♡
いいじゃ〜ない😍😍 2人とてもお似合いじゃん💕
自分から誘ったくせに、部屋へ向かう途中で夏帆は急にそわそわし始めた。
(部屋、散らかってないよね……。昨日掃除したし大丈夫! えっとあとは、コーヒーと紅茶はあるし、来客用のカップも捨てなくてよかった~)
新居に誰かを招くのは初めてで、どうにも落ち着かない。
そこで夏帆はハッとした。
(やだ……中条さんって、これから私の上司になる人じゃない。それなのに気軽に声をかけるなんて……あ~、私のバカバカ! なんてことしてるのよ!)
心の中で自分を責めながらも、オフの透也を見ると、つい気が緩んで声をかけたくなってしまう。
彼の仕事がホストではないと分かってからは、余計にだ。
まだ出会って間もないのに、なぜか彼には素の自分をさらけ出せる。
その距離感が、今の夏帆にはとても心地よかった。
(あ~もう! 来週からは上司だけど、日曜日まではただの隣人さんだもの。このくらい、いいわよね?)
そう自分に言い聞かせたころ、ちょうど玄関の前に着いた。
「じゃあ俺、一旦着替えてくるよ。スーツじゃくつろげないし」
「あ、はい……。じゃあ、お茶用意しておきますね。紅茶とコーヒー、どちらがいいですか?」
「そうだなあ……たまには紅茶にしようかな」
「OKです。では、後で……」
透也と別れた夏帆は、玄関に入るなり慌てて部屋の中をチェックした。
ミニマリストになったおかげで物は最小限。確認はすぐに終わった。
(やばいものはないよね……。それと、そうだ、紅茶! 確かまだ開けてない美味しい茶葉があったはず)
夏帆は棚から紅茶を取り出し、お湯を沸かす。
その間に、お気に入りの来客用カップを並べ、ケーキ皿にケーキを盛り付けた。
五分ほどするとインターホンが鳴り、透也がやってきた。
「どうぞ! 開いてますよ~」
「お邪魔します」
靴を脱いでリビングに入った透也は、部屋を見回して言った。
「おーっ、すっきり! 聞いてた通りだ」
「でしょ? 引っ越すとき、ほとんど手放してきたんです」
「うん。かなりすっきりしてるけど、やっぱり女の子の部屋って感じで素敵だね」
部屋を褒められた夏帆は、「ありがとうございます」と礼を言った。
透也は、リビングボードに飾られた雑貨を覗き込み、興味深そうに眺めている。
夏帆はミニブーケを活けた花瓶をローテーブルの中央へ置き、ちょうど沸いたお湯で紅茶を淹れた。
夏帆が淹れたての紅茶を持っていくと、
「いい香りだ……」
透也はそう言ってソファに腰を下ろした。
(男の人が紅茶の香りに感動するって、あんまり見たことがない)
夏帆は密かに感動する。
透也は女性の扱いに慣れているのか、自然と女心をくすぐる言葉を口にする。
カップを透也の前に置き、夏帆は皿の上に載せたケーキを見せながら尋ねた。
「ショートケーキとモンブラン、どちらがいいですか?」
「夏帆ちゃんが好きな方を選んでよ」
「私はどっちも好きなんで大丈夫です」
「そう? それなら、どうしようかなあ……でも、どっちも美味しそうだから悩むよなあ……」
透也は目の前の二種類のケーキをじっと見つめ、真剣に悩んでいる。
その表情が可笑しくて、夏帆は思わずくすっと笑った。
「笑ったな……でも、マジで決めらんない」
「じゃあ、半分ずつにします?」
「おおっ! それは名案だ! それでいこう。夏帆ちゃんナイス」
子供のように喜ぶ透也を見て、夏帆はまたくすっと笑った。
ケーキを半分ずつに切り分け、皿に盛り直してから、二人は食べ始めた。
「おいしーい!」
「うん、美味い! これ、駅前のケーキ屋さんの?」
「そうです。食べたことありますか?」
「ないよ。あの店、美味いんだなあ」
「美味しいケーキ屋さんが近くにあると幸せですよね」
夏帆も嬉しそうに頬張る。
その笑顔を、透也はじっと見つめている。
あまりにも見つめられるので、夏帆は恥ずかしさのあまり透也に尋ねた。
「なんか可笑しいですか?」
「ううん。本当に嬉しそうに食べるな~と思ってさ」
「よく言われます。私、食いしん坊なんです」
「じゃあさ、駅の反対側にあるイタリアンの店知ってる?」
「ああ、あのおしゃれな外観の? まだ行ったことないです」
「そっか……。あそこ、デリバリーもやってるって知ってる?」
「え? そうなんですか?」
「うん。もしよかったら、今日の夕飯に頼んでみる?」
突然の提案に、夏帆は目を見開いた。
「え?」
「就職祝いのパーティーだよ。明日明後日は俺も休みだし。ちょうど美味いワインが手に入ったんだ。よければ、持ってくるよ」
「え……でも」
「あの店のイタリアンは、食いしん坊なら絶対食べておいたほうがいいよ。本当におすすめだから」
透也はぐいぐいと攻めてくる。
その態度に根負けした夏帆は、口を開いた。
「――そこまでおっしゃるなら……」
夏帆はそう言いかけたが、きちんとしたイタリアンの店のデリバリーなら、かなりの料金になるだろうと思った。
就職先が決まったとはいえ、あまり散財はしたくない。
そのとき、透也が夏帆の考えを見透かしたように言った。
「大丈夫。俺がお祝いにごちそうするから」
「それはダメです。いつもごちそうになってばかりだし……」
「いーのいーの。気にしないで! じゃあ、注文しちゃうよ」
透也はスマホを取り出し、料理の写真を夏帆に見せながらどれがいいか尋ねたので、夏帆は諦めて従うことにした。
「わあ、全部美味しそう。悩んじゃいますね」
「好き嫌いがないなら、適当に頼んじゃうけど?」
「じゃあ、お願いします」
「オッケ~」
透也は料理を注文したあと、残っていたケーキを食べながら言った。
「あは、デザートが先になっちゃったね」
そう言って、照れたようにはにかんだ。
その柔らかな笑みに、夏帆の胸の奥がキュンと疼いた。
(スマイルキラー……やばっ!)
ドキドキしながら紅茶を飲み干すと、透也がケーキを食べ終え「ごちそうさま」と言って立ち上がった。
「じゃあ、ワイン取ってくるよ」
そう言い残し、自分の部屋へ戻っていった。
ひとり部屋に残された夏帆は、思いがけない展開に胸を躍らせていた。
さっきまで、元彼の駿介と揉めていたことなど、すっかり頭から消え去っていた。
(どうしよう……。未来の上司とこんなに距離を詰めてもいいのかな……)
不安はある。
けれど、それ以上に胸の高鳴りのほうが大きい。
少し戸惑いながらも、夏帆はケーキ皿とカップを片づけるため、キッチンへ向かった。