テラーノベル
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放課後。
教室には夕方の光が差し込んでいた。
相談者は机に肘をつきながら、窓の外をぼんやり見ている。
「たまに思うんです」
遥はシャーペンを置く。
「何を」
「この先も」
一拍。
「ずっとこんな感じなら嫌だなって」
教室が静まる。
「こんな感じ」
遥が繰り返す。
相談者は苦笑する。
「別に今が最悪って訳じゃないです。学校行って帰って寝てまた学校行って」
一拍。
「普通です。でも」
少し視線が落ちる。
「何か、これが何年も続くのかって思うと 急に嫌になる」
沈黙。
遥は聞く。
「十年後のこと考えてるのか」
「考えます」
相談者は頷く。
「大人になっても、働いても、結婚してもしなくても」
一拍。
「結局、自分って自分じゃないですか。だったら」
小さく笑う。
「何も変わらない気がして」
教室が静まる。
遥は少し考える。
「お前」
短く。
「未来を一枚の写真みたいに見てるな」
相談者は顔を上げる。
「写真?」
「今の自分をそのままコピーして十年後に貼り付けてる」
一拍。
「そんな想像」
相談者は止まる。
「……してるかも」
遥は窓の外を見る。
「でも、去年のお前と今のお前全く同じか」
教室が静まる。
相談者は首を横に振る。
「同じではないです。色々ありましたし考え方も変わったし」
一拍。
「嫌な部分はあまり変わってないですけど」
遥は言う。
「人間って」
少し間を置く。
「変わる時は変わるし変わらない時は全然変わらない。その繰り返し」
相談者は笑う。
「適当ですね」
「そうかも」
遥は否定しない。
「でも」
一拍。
「未来って案外そんなものかもしれない」
教室の空気が静かになる。
相談者は机を見つめる。
「何か、ずっと今の苦しさが続く気がするんです」
遥は少し考える。
「今苦しい時ほど未来の想像も苦しくなる」
一拍。
「逆もある。楽しい時は何となく何とかなる気がする」
相談者は黙る。
思い当たる。
遥は続ける。
「未来予測って、結構」
少し間を置く。
「今の気分に引っ張られる」
教室が静まる。
「じゃあ」
相談者は言う。
「考えても無駄ですか」
遥は首を振る。
「無駄ではない。でも」
一拍。
「二十年後の絶望を今の自分一人で背負わなくていい」
相談者は顔を上げる。
遥は鞄を持つ。
「来年の自分は今の自分と少し違う。五年後ならもっと違う。その時のことは」
一拍。
「その時の自分も一緒に考える」
窓の外は少し暗くなっていた。
相談者は小さく息を吐く。
「俺」
少し笑う。
「まだ来てもない未来に疲れてたのかも」
遥はドアへ向かう。
ruruha
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ruruha
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#一次創作
ruruha
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「そういうこともある」
この先もずっと同じだと思う時。
本当に見えているのは未来ではなく、今の苦しさが映った影なのかもしれない。
未来は分からない。
だから不安になる。
でも、分からないということは、悪い方に決まっているという意味でもない。
コメント
1件
このエピソード、めっちゃ沁みた…。「未来予測って、今の気分に引っ張られる」って台詞、まさにそれだよね。相談者の「まだ来てもない未来に疲れてた」って気づきがすごくリアルで、読んでて自分も肩の力が抜けた気がした。遥の語り口が優しくて、でもちゃんと核心を突いてるのが好き。「未来は分からないから不安」だけど、「分からない=悪いとは限らない」って最後の一文が希望をくれた感じ。めっちゃ良かった🔥