テラーノベル
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朝。
「おはよ」
澪継が言う。
「おはよー」
春真が返す。
「……今日、雨」
「マジで降ってるな」
「……うん」
傘を閉じる音。
水滴が落ちる音。
いつも通りの朝。
でも――
「……なあ」
澪継が言う。
「何」
「……いらないって言われたあとって」
昨日の続き。
「うん」
「……どうするのが普通」
そのまま聞く。
「は?」
春真が少し笑う。
「普通とかあんの?」
軽い返し。
「……分からないから」
正直に言う。
「……」
春真は少し考える。
「まあ」
ゆっくり言う。
「離れるんじゃね?」
あっさり。
「関わらないようにする」
「……」
澪継は、少しだけ黙る。
「……そっか」
短く返す。
それができるなら、簡単だ。
でも――
できるとは限らない。
教室。
「……おはよ、坂本」
「ああ」
「……昨日の英語」
ノートを開く。
「ここ、こうでいい?」
「それでいい」
「……ありがと」
変わらない会話。
変わらない距離。
三時間目後。
「なあ」
いつもの三人。
「昼な」
「……うん」
頷く。
「今日も外な」
一人が言う。
「……分かった」
短く返す。
もう、驚かない。
昼休み。
机が動く。
空間。
「そこな」
外側。
昨日と同じ位置。
「……」
澪継は立つ。
何も言わない。
「じゃ、やろうぜ」
別の男子が中央に入る。
流れは始まる。
「……」
澪継は、見ている。
昨日と同じ。
でも――
今日は、少し違う。
「なあ」
声が飛ぶ。
「澪継」
名前。
「……何」
返す。
「そこ、どうだっけ」
また確認。
「……こう」
短く答える。
「サンキュ」
軽い返事。
そのまま続く。
途中。
「なあ」
別の声。
「澪継さ」
「……」
「こっち来て」
指される。
内側。
一瞬だけ。
「……」
澪継は、少しだけ止まる。
「いいから」
軽く言われる。
「……」
歩く。
中に入る。
でも――
中心じゃない。
“補助”。
「ここ」
指示される。
「……」
従う。
短く動く。
すぐ終わる。
「はい戻っていいよ」
軽い声。
また外側へ。
「……」
距離が変わる。
でも――
完全に外でもない。
完全に中でもない。
曖昧な位置。
「なあ」
誰かが笑う。
「便利じゃね?」
軽く言う。
「呼べば来るし」
「……」
笑いが広がる。
「マジそれ」
軽い同意。
「……」
澪継は、何も言わない。
ただ立っている。
終わる。
「はい終わり」
空気が解ける。
「今日も楽だったな」
笑い声。
「……」
澪継は、そのまま席に戻る。
座る。
息を整える。
「……」
胸の奥が、少しだけざわつく。
昨日の“空白”とは違う。
何かが、引っかかる。
「なあ」
後ろ。
坂本。
「……うん」
「今日」
「……」
「呼ばれてたな」
「……呼ばれてた」
短く返す。
「どうだった」
聞かれる。
「……」
少しだけ考える。
「……楽じゃない」
そのまま言う。
「……そっか」
坂本は頷く。
少しだけ間。
「それ」
「……うん」
「お前が選んでるな」
静かに言う。
「……」
言葉が止まる。
「……」
否定できない。
「……」
坂本は、それ以上言わない。
放課後。
「帰る?」
春真。
「……うん」
並ぶ。
歩く。
「今日どうだった?」
「……呼ばれた」
短く言う。
「何に」
「あれ」
具体にしない。
でも伝わる。
「へえ」
軽い反応。
「……」
澪継は続ける。
「……戻った」
「中に?」
「……少しだけ」
「……」
春真が少し黙る。
「それ、嫌だった?」
聞く。
「……分からない」
正直に言う。
でも。
「……楽じゃない」
繰り返す。
「……そっか」
短い返事。
少しだけ間。
「まあさ」
春真が言う。
「関わるならそうなるだろ」
現実的な言葉。
「……」
澪継は黙る。
「……なあ」
言う。
「何」
「……関わらなければいいって」
朝の話。
「……できる?」
そのまま聞く。
「……」
春真は、少しだけ考える。
「できるやつはできる」
曖昧な答え。
「お前は?」
「……」
少し間。
「……分からない」
正直に言う。
家の前。
立ち止まる。
「……なあ」
澪継が言う。
「何」
「……近いのって」
言葉を探す。
「……良くない?」
その問いに、春真は少しだけ驚く。
「は? 何それ」
「……分からないけど」
続ける。
「……遠いより」
小さく言う。
「……」
春真は黙る。
少しだけ。
「……どうだろうな」
曖昧に返す。
玄関。
「ただいまー」
「おかえり」
「……ただいま」
返事はない。
変わらない。
でも――
今日は違う。
澪継は
・外にいた
・呼ばれて中に入った
・完全には外じゃなくなった
小さい変化。
でも――
距離が変わった。
遠くでもなく、中でもない。
曖昧で、近い位置。
「……」
部屋に入る。
ドアを閉める。
静かに。
「……近い」
呟く。
それが、
良いのか。
悪いのか。
まだ――
分からないまま。
コメント
1件
うわああ新着通知から飛んできたよ!!📱💨 第19話「近い距離」、めっちゃ沁みた……😭💕 澪継くんの“完全に外でも中でもない”ポジション、すごくリアルで胸がギュッてなったよ…。呼ばれて中に入ったけど“補助”扱い、しかも「便利じゃね?」って笑われる空気、読んでてこっちまで息苦しくなった……。 坂本くんの「お前が選んでるな」が刺さる…。それに対して否定できない澪継くんの心情描写が静かで繊細で、めちゃくちゃエモかった😢✨ 最後の「近い」って呟き、良いのか悪いのかまだ分からないまま終わるのもリアルで好き……。続きが気になって仕方ないよ!!次話も楽しみにしてるね🌸💕