テラーノベル
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冬休みの午後、家のリビングにはいつもより多くの声が響いていた。晃司や颯馬は端に座り、怜央菜と沙耶香はテレビを眺めている。中心となって遥を責めるのは、兄弟の友人たち、七人ほどの男子と女子だ。
「さあ、始めようか」
一人がにやりと笑い、俺の肩をつかむ。身体は疲弊していて、まともに抵抗できない。
「今日も俺をどうしたいんだ……」
口に出てしまったその言葉に、男子の一人が鼻で笑う。
「やり方はお前が教えてくれるんじゃない? 動かないとつまんないしな」
女子たちは楽しそうに俺の髪を引っ張ったり、肩を押さえつける。手にした雑巾や石袋を俺の背中に押し付け、膝の上に乗せる。体が悲鳴を上げても、全員の目が自分を見つめる。
「お前、情けねえな」
誰かが言う。
「もっと必死になれよ。動かないと面白くない」
別の一人が付け足す。
俺は弱々しくも問いかける。
「……なんで……こんなこと……するんだ?」
「お前がいるからだよ」
女子の声が返る。笑いながら俺の胸を押す。
「俺のせい……全部俺のせいだ……」
自然に出る自己否定の言葉。体中の痛みと羞恥が同時に押し寄せる。
重い袋や椅子を押し付けられ、膝や背中が軋む。男子たちは肩や頭を軽く打ちつけ、女子たちは髪や顔を掴み、動けないようにする。
「もっと見せろよ、情けない顔」
「俺……もう……動けない……」
少し声が震える。
誰かが庭から汲んできた冷たい水を腕にかけ、また誰かが床に置いた食べ物を拾わせる。口に入れるたびに恥ずかしさと屈辱が込み上げ、涙が自然と溢れる。
「食べろ、さもないと次はもっと面白いことになるよ」
「俺……なんで……俺だけ……」
弱々しい呟きに、女子の一人が肩を揺らして笑う。
「いや、あんたが悪いんじゃないよ。単純に楽しいから」
体中に残る痛みと屈辱、全員の視線と声が重なり、俺の呼吸は荒くなる。膝をつき、背中を丸めながらも、逃げ場はない。身体は限界に近く、精神もずっと追い込まれていく。
友人たちが交代で圧迫や押さえつけを続け、時折体に重りを乗せたり、雑巾で叩いたりする。痛みに耐えながらも、頭の中で繰り返すのは「俺が悪い、俺が悪い」という自己否定の念。
最後に、全員で肩を押さえつけたまま、笑いながら俺の目を覗き込む。
「情けない顔、最高だな」
「でも、まだまだ楽しめる」
俺は震えながらも小さく頷くしかない。身体も心も逃げられず、完全に掌中にある。屈辱は終わる気配がなく、今日もまた、俺は彼らの娯楽にされ続けるのだ。
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