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みんなは今日も夢の世界へと落ちていく。
みんなが部屋から出てくる。
白井拓馬、高橋れな、村田友香、寝たきりの中野さきと、元々竜一のいた部屋から羽賀りょうがでてきた。
「え、羽賀りょう…」
みんなは羽賀りょうがでてきたことに驚いている。いつもその部屋からは黒岩竜一がでてきていたというのに…
「なに見てんだ。ここどこだよ。おれをここから出せ!」
いきなり怒鳴り、高橋れながびっくりする。
村田友香が羽賀りょうの前に立ち、今の状況を簡単に説明する。
「ここは夢の中だけど、ここで死んだら現実世界でも死ぬ。私達のクラスは10日ほど前から何人も死んでるの!怪物のせいで!」
村田友香の説明を聞いた時、羽賀りょうは、なぜ相川はるとと、藍沢叶が死んだ理由。そして黒岩竜一が包帯だらけだったのを思い出し、全ての辻褄が合う。
「怪物?」
よく理解できないが羽賀りょうは納得してくれたみたいだった。
「この部屋は誰だ?」
羽賀りょうは中野さきの部屋に入ろうとすると、村田友香が羽賀りょうの前に立ち塞がった。
「この部屋はだめ!!」
訳を説明すると羽賀りょうは意外にも納得してくれた。
夢の中なのかすんなり受け入れてくれるのが逆に怖い。
普段も何を考えているのかはわからない。
きっと彼の頭の中は暴力や喧嘩でいっぱいなのだろう。
竜一がみんなにしてくれたように、白井達も新しく入ってきた羽賀りょうに幻影を見せる。
図書室へ行き、相川はるとの死の幻影を見せると羽賀りょうは何やらニヤニヤしている。
「これが…怪物…」
羽賀りょうは図書室から飛び出しどこかへ行ってしまう。
「羽賀りょう!!ちょっとまって!」
白井拓馬が呼び止めるが聞く耳を持たない。
「くそ!俺達も追いかけよう!」
高橋れなと村田友香も羽賀りょうの後を追うが、足が早すぎて見失ってしまった。
白井拓馬と高橋れなと村田友香の三人は本館の玄関ホールへ着く。
「しかたない。ここからは別れて羽賀りょうを探そう!本館の方にいなかったら10分後に本館の玄関ホールへ戻ってきてくれ」
高橋れなは反対側の階段を登り、牢屋と実験室の部屋へ行き、村田友香は大広間とキッチンと地下、白井拓馬は別館の方へと行く。
「……..」
高橋れなは牢屋のある部屋に訪れる。
人の気配もなく静かだ。
「いなさそう…」
あとは実験室を見ていなかったら玄関ホールへ戻ろう。実験室へ入ると同時に牢屋の入り口の方からもドアが開く音が聞こえた。
「まさか怪物!?隠れよう」
奥の実験台の下に隠れ、息を止める
「ガチャ」
実験室にも入ってきた。姿を見てみると松村ライキだった。いや、松村ライキの姿をした怪物に間違いないだろう。
怪物は部屋を一周する。そして部屋の扉の前で何か喋り出した。
「ア…ダレカ…イタイ..タスケテ…」
最後の松村ライキもそんなことを言っていたのかなと考えると胸が痛くなる。
高橋れなは心のなかで、助けられなくてごめんと謝る。
「ガチャ」
怪物が部屋から出る。
「はぁ、はぁ、はぁ、ここ酸素薄すぎ…」
怪物がいないのを確認し、高橋れなは実験室を出て、玄関ホールへ戻る。
だがまだだれもきていなかった。
「まだ誰もいないや…」
まだ5分も経っていなかったので、中野さきの容体を見にいくことした。
最初の部屋へ戻ろうとすると、中野さきの部屋の扉が開いている。
「グチャ、グチャ、グチャ、」
とても気持ち悪い音が中野さきの部屋から聞こえる。
「なんの…音?…」
高橋れなは部屋をそっと覗くと信じられないものを見てしまう。
大広間へやってきた村田友香は…
広い大広間、キッチンと倉庫と地下をある程度探してみるが、まったく羽賀りょうの姿はなかった。
「もう…どこなのよ…」
地下からの階段を登り大広間へ戻ろうとすると、
怪物が大広間の中央で暴れていた。
「えっ」
机や椅子をどんどん破壊している。
そういえばさっき来た時は、机や椅子は綺麗に揃えられていたことを思い出す。
村田友香は大広間の方は初めて来たので元々どのようか感じかわからないが、壁や玄関ホール等、あまりにも綺麗すぎるのが、不自然だと思った。
あの怪物がいる以上、その辺血だらけになっていてもおかしくないというのに。
するといきなり、怪物はピクリと止まり、村田友香のいる倉庫の方を見る。
村田友香は息を止めていなかったことを思い出し、すぐに息を止める。
「ミタナ…ミタナァァァァアア」
怪物は村田友香のいる部屋へ急に走り出した。
村田友香はすぐさま倉庫の箪笥(タンス)の中に入り、身を潜める。
「グァダァダァぁダァああがぁぁ」
怪物は倉庫でたくさん暴れている。
村田友香が入っている箪笥も押し倒すと、箪笥のドアが一緒に開いてしまう。
見つかると思い、更に息を殺し、全くの無となった。
すると怪物はそのまま地下の方へ行った。
今しかないと思い、倉庫から出て、大広間の部屋から出た。
玄関ホールへ戻る。ちょうど10分前だろうと思ったが誰も来ていなかった。
「あれ?れなは先に来てると思ったんだけど…」
れなのいる牢屋の方を呼んでみるがいる気配はない。
もしかすると、中野さきの容体を見に行ったのかと思い、村田友香も最初のリスポーンする部屋へ行くことにした。
寝室を渡ると、高橋れなの叫び声が聞こえ、次の瞬間物凄い音が聞こえた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁああ」
「ドーーーン」
村田友香は急いで戻ると、羽賀りょうが片手で高橋れなの首を絞め持ち上げている。
「あ、だ…すけ…」
高橋れなが苦しみ助けを求めている。
「ちょっとなにしてるの!!!」
村田友香が怒り羽賀りょうに迫ろうとすると、
中野さきがベッドの上で体がグチャグチャになるのを見てしまう。
「いや…いや…さき…そんな…」
村田友香は周りが見えなくなる。
中野さきの部屋に入り、死体の前で涙が零れ落ちる。
中野さきは何度も何度も殴られ人かすらわからないほど酷くグチャグチャだった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ」
白井拓真からもらった拳銃で村田友香は羽賀りょうに2発銃弾を放つ。
「バキューン」
だが圧倒的な反射神経で2発とも避けられてしまう。
「そんな!?」
羽賀りょうはそのまま気を失っていく高橋れなの首を捻り、一回転させ死滅させる。
「まって…」
村田友香が喋る前に高橋れなは殺されてしまった。
村田友香は銃口を向けるがあまりの恐怖で体が震えて狙いが定まらない。
怒りもあるが、この恐怖は今までに感じたことのない恐怖だった。
怪物とはまるで違う。まったく弱点がなかった。
狙いの定まらない拳銃を撃つ。
「バキューン」
だが羽賀りょうは死体の高橋れなで身代わりにした。
「なぁ、俺様がなんでこんなことしてると思う?」
羽賀りょうは村田友香の髪を掴み、ニヤニヤしながら喋りだす。
「俺はお前らみたいな雑魚を殺すのが好きなんだよ!ここは夢の中だろ!?これでやっとお前ら全員を殺せる!これから夢を見るやつも全員な!」
気分が良いのかとても気持ちよく喋っている。
「しらねぇだろ、こんなおもちゃで殺すより、殴り殺したほうが気持ちぃってことをよー!!」
羽賀りょうは中野さきの部屋のベッドの横で村田友香を殴り殺した。
「ごめん…みんな…」
高橋れなと中野さきしか興味なかった村田友香は初めて心の底からクラスみんなに謝った。
「私じゃ…この男は止めれそうに….な…い」
「グチャッ」
羽賀りょうはみんなを殴り殺しにした後部屋から出て行った。
その頃…
別館にいた白井拓馬は2階の右の階段の先の部屋、そこはホームオフィスのような部屋だ。
誰かがここで仕事をしていたのだろう。
PCなども置いてある。
PCの電源を開くといろいろなデータが出てきた。
「ん?これは…」
ひとつ気になるデータを見つける。
【怪物】と書かれているフォルダを開くと、
謎の写真がたくさん出てきた。
「なんだこの写真は…」
どこの国かはわからないが、呪印や魔法陣の書かれている写真や他にも黒いフードを被った人達がその魔法陣の周りでお祈りをしている。
あまりにも異様で不気味な写真だった。
まるでこの世に何か恐ろしいものでも召喚しようとでもいうのだろうか。
「まさかあの怪物を召喚する儀式…」
そんな馬鹿げたことを考えたがもう非科学的すぎて頭が爆発しそうだ。
「もうこれ以上非科学なことはやめてくれ…」
白井拓馬は机の上に置いてある鍵を手に取り、
反対側の和室も羽賀りょうがいないのを確認し、
本館の玄関ホールへ戻る。
なんと玄関ホールの中央で羽賀りょうと怪物が戦っているのを見つける。
「見つけた!!でも他のみんなは??」
白井拓馬は怪物と羽賀りょうの戦いを見届ける。
「へへっなかなかやるじゃねぇか。てめぇみたいな強いやつと戦うのは久々だぜぇぇぇえ」
怪物が長い髪の毛を伸ばし、羽賀りょうの動きを止めようとするが、羽賀りょうの力が強すぎてまったく動きを止めることができないでいる。
怪物は羽を広げ、空中から突進してきた。
だがなんと羽賀りょうはその突進を受け止め、怪物を壁の方へと吹き飛ばした。
そして怪物の上に跨り怪物を殴り続ける。
「おらおらおらおら!どうした!そんなもんか??」
まるでどっちが怪物かわからないほどに羽賀りょうは強かった。
白井拓馬は今のうちに大広間や牢屋の部屋を見るが、高橋れなと村田友香の姿はなかった。
「中野さきの部屋かな?…」
玄関ホールで集中して戦っている羽賀りょうを置いて気づかれないように最初の部屋へと戻った。
そして白井拓馬は見てしまう。
「え…」
あまりに無惨に殺されてしまった三人の死体を。
「いったい…なにが…おこったんです…か?」
高橋れなは首が後ろに一回転して死に、村田友香はベッドの横で血だらけでよこたわっている。
中野さきは殴られすぎて人かすらわからない。
「みんな…」
白井拓馬は絶望する。10分ほどみんなと別れただけだ何故こんなことになってしまったのか。
白井拓馬は選択を間違えてしまい、自分を攻める。
「なんで…なんでなんでなんでなんでなんで..」
血だらけの村田友香を起こそうと思い抱き抱えるると、村田友香の目から涙が零れ落ちる。
涙を拭ってあげると村田友香が少し目を開き、かすれた声で喋り出す。
「たくま…羽賀を…とめ…て…あなたの…手…で」
最後の力を振り絞って喋ったのか、村田友香は目を見開いたまま命を落とした。
白井拓馬はそっと村田友香の目を閉じてあげる。
「まかせて….みんなの仇は俺が必ず取る…」
白井拓馬は怒りと憎しみ、殺意、悲しみ、いろいろな感情が心の中で混ざりあいながらも、部屋を後にする。
寝室を抜け、玄関ホールへ辿りつくと、怪物の死体の上に血だらけの羽賀りょうが座っていた。
「よぉ、白井!お前も俺に殺されにきたのか?」
白井拓馬は無言で階段を一段ずつ降りる。
「白井見てきたか?あの女達の死体を」
羽賀りょうはとても気持ちよさそうに笑って喋っている。
まるで生物を殺すのに快感を得ているようだ。
「俺は雑魚は嫌いだからなぁ。特にお前のような陰キャはよー。ほんとに見ててムカついてくるんだよなー。わかるだろ??だから…」
白井拓馬が階段を降りたと同時に羽賀りょうが白井拓真の間合いに入る。
「死ね!!」
羽賀りょうが大きく振りかぶった右腕で白井の腹へ殴りかかろうとすると、白井は自分の部屋から持ってきていた電気ショッカーを取り出し、羽賀りょうを感電させる。
「くらえっ!」
少し怯みはしたが、これといったダメージはなかった。
まともに正面から戦って勝てるような相手ではないのは白井自身、1番わかっている。
だがしかし、ここでこの男を止めないとクラス全員がこいつの手によって死んでしまうこともわかっている。
だからあらゆる手を使い、自分ができる全ての知力を尽くすのだ。
「俺がここでお前をとめる!!」
次の瞬間、羽賀りょうの拳をまともにくらってしまう。
「ぐはっ」
前屈みになったところに更に跳び膝蹴りをくらう。
「あぁぁ…」
羽賀りょうはすごく楽しそうに白井拓馬を殴り続ける。
「おらおらおらどうしたさっきの威勢はどこいった??」
白井拓馬は隙を見て、ポケットから取り出したナイフで羽賀りょうの腹を刺す。
ナイフは見事に腹に貫通したというのに、それでも羽賀りょうの暴力は止まらない。
「くっそ…このままじゃ…」
徐々に殴るスピードが速くなってくる。
白井の体ももうボロボロになってきた。
顔も血だらけだ。
白井はもう一度電気ショッカーで動きを止める。
そのうちに一旦別館の方へと走って逃げる。
「こんなんじゃ足りねぇなぁしらいぃぃぃいい」
後ろの方から羽賀りょうの声が聞こえてくる。
羽賀りょうも後ろから追いかけてくるのがわかる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
体力が無さすぎてすぐに追いつかれてしまう。
羽賀りょうは白井拓馬の上に跨ると、また殴り始める。
「おらおらおらおらぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
もう白井の顔はグチャグチャになっていた。
おそらく次殴られたら死ぬだろう。
気も遠くなってきていた。
「これで…さいご…だ…」
白井がポケットに手を入れようとすると、
羽賀りょうの後ろにいつの間にか怪物が立っていた。
怪物は羽賀りょうを背中から拳で貫いた。
「ぐあぁぁあ….馬鹿な…いつの…まに…」
怪物は拳を引き抜く。
「くそ…せめて…おまえだけでも!!!」
羽賀りょうは最後の拳を大きく振り上げる。
死ぬ寸前に白井拓馬にとどめをさすつもりだ。
白井拓馬も村田友香が使っていた拳銃をポケットから取り出し、羽賀りょうに発砲した。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
2人の雄叫びはこの家中に響いた。
白井拓馬の放った銃弾は見事に羽賀りょうの頭を貫いたが、羽賀りょうの大きく振り上げた腕は白井拓馬の胸を貫通していた。
2人は別館の玄関ホール中央で生き絶えたのであった。
そして怪物はそのまま煙のように姿を消した。
みんなのいた部屋や、血の跡、机や椅子などは、またリセットされ、何もなかったかのように元通りになった。