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真子ちゃんと拓君のことを我がことのように喜んでくれる美桜ちゃんは何で心の優しい女子なんだ❣️嬉しすぎる✨ そして美桜ちゃんも健次とデート❤️でお二人ともご馳走様😋🌸 拓君も真子ちゃんもプライベートがとても充実してるから婚約💍購入後のビアガーデン🍺も2人の大切な思い出になってそれも良き💕だね🥰
翌朝、拓は真子が作った朝食を食べてから一旦ホテルへ戻った。
午前中は市役所で打ち合わせがあるようだ。
午後からはフリーなので、ホテルの荷物をまとめてアパートへ来ると言った。
真子は今日は朝から仕事でいないので、拓に合い鍵を渡した。
拓を見送った後、真子も出かける用意をしてアパートを出た。
工房へ行くと既に美桜が出勤していた。
午前中は教室がなかったので、真子は作品作りをしながら美桜に拓との事を全て話した。
もちろん今日から拓と一緒に住む事もだ。
「良かったねー、8年の時を経て交際復活? いや、それを飛び越えての婚約? もう驚き過ぎてびっくりよー」
「ごめんねー、でも自分でも驚いてる」
「そりゃそうだよー。でもさぁ、この町での運命の再会って本当にあるんだね。秋子さん達みたいに? なんかそれって凄くない? いやーそれにしてもトントン拍子でびっくりしたけど、でも良かったね、真子、おめでとう」
美桜は大学時代の真子を知っているので、真子がずっと拓を忘れられずにいた事には気付いていた。
大学時代の真子は結構モテた。
先輩や同期から、何度も交際を申し込まれていたのも知っている。
しかし真子は頑なにずっとそれを拒み続けていた。
そんな一途な真子を見てきただけに、美桜も感無量だ。
だから真子が拓と再会して復縁し、婚約したと聞いて心から嬉しかった。
「今日お祝いする? って言いたいところだけれど、今日予定あるんだよなー」
「健次さん?」
健次は美桜の恋人だ。健次は大学の二期先輩で真子も健次の事は良く知っている。
美桜と健次は、美桜が大学2年の頃から付き合っていた。そして健次は今札幌に住んでいる。
「うん、そう。珍しく今日は健次から誘ってきたんだ」
「えー良かったね。美桜最近愚痴ってたじゃん。健次さんが最近忙し過ぎてデート出来ないって」
「うん、漸く仕事が一段落したのかな? だからごめんね。お祝いはまた今度っていう事で。真子の彼氏に許可貰って真子が都合のいい日にでも」
「うん、わかった」
真子は快くそう答えた。
午後の教室を終えた真子は片付けをしてから工房を出ようとしていた。
今日デートの美桜は既に一足先に帰っていた。
真子は戸締りを確認して工房を出ると、アパートに帰る前にスーパーに寄った。
先ほどスマホを見たら拓から連絡が来ていて、拓は既にアパートにいるようだ。
今日は拓と一緒に暮らし始める記念すべき日だ。
真子は夕食に拓の好物の唐揚げを作ろうと思った。
高校時代に拓とピクニックへ行った時、真子はお弁当を作っていった。
その時に入っていたおかずだ。
あの日唐揚げを食べた拓は、何度も美味しい美味しいと言っていた。
だからそれを作る事にした。
買い物を済ませアパートへ帰ると、
いつもは真っ暗でシーンと静まり返った真子の部屋に明かりがついていた。
それを見た瞬間、真子の心がほんわかとする。
ドアの鍵を出そうと真子がバッグをごそごそと探っていると、
突然ドアが開いた。
「お帰り」
「ただいま。なんでわかったの?」
「キッチンの窓に映ってた」
拓は笑顔で言うと、真子が持っていた重いエコバッグを持ってくれる。
そしてキッチンへ運んでくれた。
「今日は食べに行ったっていいんだぞ? 疲れてるだろう?」
「ううん、いいよ。今日は作るよ」
それから真子は手を洗いに行った。
真子が戻って来ると拓はパソコンに向かっていた。
真子は拓の傍へ行きパソコンを覗き込む。
拓のパソコンは真子のよりもサイズが一回り大きかった。
一目見ただけでハイスペックな機種だとわかる。
画面にはかなり複雑な設計図のようなものが表示されていた。
それを見ながら拓は軽快にキーボードを叩いている。
「すごーい。拓ってこんな複雑な事やってるんだ…」
「すごくはないけれどかなり複雑なのは確かだな」
「ううん、本当にすごいよ。だって私が見てもさっぱりわからないもん」
「ハハッ、みんながわかったら建築士の資格なんていらないよな」
拓はそう言って笑った。
「そっか、拓って建築士の資格持ってるんだ! えっとそれって何級?」
「去年一級に受かった」
「すごーい! 一級って20代じゃなかなか取れないって聞いたことがある」
「そう? まあまぐれで受かったんだよ」
「まぐれな訳ないじゃん」
思い返せば拓は高校時代かなり成績優秀だった。おそらく学年でいつも1~2位を争っていた記憶がある。
そんな拓なら建築士一級の資格など簡単な事なのかもしれない。
せっかく建築士一級の資格を取り、社内コンペで優勝し大きな仕事を勝ち取るまでに成長した拓に、
今勤めている事務所を辞めて北海道に来て欲しいとはさすがに言えない。
となると、真子が神奈川に戻るのが一番だ。
しかしそうなると美桜とやっている工房はどうなるのか? 考えても答えが出ない。
その時拓が真子に聞いた。
「今日は何を作ってくれるの?」
「唐揚げだよ」
「うおーっ、俺真子の唐揚げ大好きなんだ、楽しみー! じゃあ用意が出来るまでもうちょっと頑張るかな」
拓はニコニコしながら再びパソコンに向かった。
夕食の準備が終わると、二人はダイニングテーブルへ座り食事を始めた。
今日は同居の初日という事でビールで乾杯した。
揚げたての唐揚げを食べた拓は、
「美味い! 昔と同じ味だ。にんにくが効いているのがいいんだよなー」
真子の唐揚げは下味をしっかりつけてから揚げるので、どちらかというと竜田揚げに近い。
拓はこの下味のついた唐揚げが好みのようだ。
「唐揚げとビールってなんでこんなに合うんだろうね?」
「居酒屋にあるメニューだから?」
「なるほどな。そういえばさ、岩見沢ってビアガーデンってないの?」
「あるよ。四条の駐車場を使って期間限定で毎年オープンするの。テントみたいな場所なんだ」
「近いじゃん! いつからだ?」
拓はそう言ってスマホで検索を始める。
「おっ、明日からオープンだって! 行ってみようよ真子」
「うん、いいよ」
「よし、じゃあ来週の日曜日にする? 真子が休みの前日に。 あ、でもその日は指輪も買いに行くんだったな。指輪を買った後にビアガーデンじゃムードねーしなー」
「全然いいよ。逆に思い出に残りそう」
真子はニッコリして答える。
言葉通り、真子は全然気にしていなかった。なぜなら今の真子は拓と一緒にいられるだけで幸せだからだ。
これから毎日この部屋で拓と暮らせるのだ。
会えなかった8年の月日を思えば、ムードなんてどうでもいい。
「じゃあ日曜日の予定は指輪のお買い物から~のビアガーデンって事で」
「承知しましたーっ!」
真子が手を額に持っていき敬礼のポーズをとったので、拓は声を出して笑った。
それから二人はお喋りを楽しみながら夕食のひと時を楽しんだ。