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次の日の朝から、教室は妙な空気に包まれていた。
昨日の柊の爆弾発言の余韻がまだ残っている。
「なぁ、大地。今日の放課後、一緒に帰らないか?」
柊が自然な笑顔で声をかけてきた。
「え、オレ? え、えぇ? あっ、でも──」
大地があたふたしていると、その声をかき消すように隼人が割り込む。
「ダメだ。こいつ、今日は俺と一緒に帰る約束してんだよ」
「はあ? 聞いてないけど」
「今した」
「ズルいだろ、それ」
「勝負はいつも早い者勝ちなんだよ」
教室中が「おぉ〜」と盛り上がる。
すかさず萌絵が机をバンバン叩いた。
「きたきたきた!ラブコメの王道バチバチ対決ッ!!」
涼は眼鏡をくいっと押し上げながら冷静に解説する。
「柊は直球型アプローチ。隼人は独占欲むき出し。構図としては鉄板だな」
「実況すんなっての!」
隼人が睨みつけても二人は止まらない。
大地は両手をぶんぶん振って必死に止めようとする。
「ちょ、待って待って! オレはただの帰宅部だよ!? 取り合う価値ないよ!? オレの魅力ってお菓子の大袋くらいのレベルだから!」
しかし柊はさらりと微笑んで言い放った。
「俺は、大地と一緒にいる時間に価値を感じてるんだ」
隼人の眉間にぐっと皺が寄る。
「……ふざけんなよ」
教室はどよめきと笑いで嵐のよう。
そしてその中心で、大地だけが必死に叫んでいた。
「お願いだからオレを景品扱いするなーーっ!!」