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51歳のシンデレラ

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51歳のシンデレラ

第51話 - 第51話

143

2024年08月03日

#大人の恋愛

#恋愛

#純愛

#第3回テノコン

#ハッピーエンド

#大人ロマンス

瑠璃マリコ

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瑠璃マリコ

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一方、雪子はちょうど車で自宅へ戻ったところだった。

いつもより少し遠いスーパーへ行ってみたところ、野菜のセールをやっていた。

最近は物価高で野菜の値段も高騰していたので、雪子は大喜びであれこれと買い込んで来た。

雪子はすぐに野菜を冷蔵庫へしまい始める。

その時スマホにメッセージが届いた。

今度は誰からだろうと思いスマホを見ると、先日鎌倉駅のカフェで会った板倉からだった。

板倉とはあの後なんとなく気まずくてそれっきりだった。

雪子は憂鬱なまま板倉からのメッセージを開いてみた。

【雪子ちゃんこの間はありがとう。そういえばあの日駅に戻る時に雪子ちゃんが超イケメンの男と手を繋いでいるのを見ちゃったよ。なんだよー彼氏いるんじゃん。気を遣わないで言ってくれたらよかったのに。俺がデートに誘ったのは友人としてなんだからあまり気にしないでね】

（板倉さんに見られてたんだ）

雪子はびっくりする。そしてすぐに返信した。

【あの場にいらっしゃったのですね。彼とは最近お付き合いを始めたばかりなんです。すみません、折角誘っていただいたのに】

その時板倉はデパートの従業員食堂にいた。

雪子からの返信を見て、

（やっぱりそうか）

と、ガックリと肩を落とす。しかし気を取り直してまたメッセージを送る。

【いやいや気にしないで。また加奈子ちゃんも誘って飲み会でも計画するからその時はよろしくね】

雪子は板倉の返事を見てホッとした。

【はい。楽しみにしていますね】

そう返信しやり取りを終えた。

俊のお陰で板倉とは気まずくならずに済んだ。雪子は心からホッとする。

一方雪子の返事を見た板倉はハァーッと大きなため息をつくと、スマホをポケットへしまった。

その時、向かいの席に笹倉俊之が来て座った。

「ここいいか？」

板倉は最近俊之とはほとんど話していなかった。

俊之が異動になってから一方的に避けられていたので、話す機会がなかったといった方が正しいだろう。

そんな中、今日は俊之の方から近づいて来たので正直驚いていた。

「ああ、珍しいな。どうだ、新しい部署は？」

板倉はそう言って俊之を見つめる。

俊之はワイシャツとネクタイの上に白衣と和帽子を身に着けた姿だった。

少し前までは、エリート部署でビシッとスーツを着こなしバリバリと仕事をしていた男の姿はもうそこにはなかった。

なんとなく覇気がなく少しやつれたような気がする。

「しんどいよ、居場所が全くない。まあ身から出た錆だから仕方ないけれどな。お前も心の中では笑ってんだろう？」

俊之は力なく言った。

「そりゃぁなぁ、一度目の時はせっかく雪子ちゃんが会社に黙っていてくれたのに、また同じ過ちを繰り返すとか馬鹿過ぎるだろう？　なんでまたよりによって社内の女に手をつけるかなぁ」

「お前はいつも雪子の肩ばかり持つな。もしかして雪子と会っているのか？」

俊之は怪訝な顔で板倉を見る。

「俺が雪子ちゃんに会おうが会うまいがもうお前には関係ないだろう？　お前らはもうとっくに別れているんだから」

「会っているのか？　って聞いてるんだっ！」

俊之がかなり強い口調で言ったので、周りにいた社員達が驚いた顔で一斉にこちらを見ている。

「おいおい、いいかげんにしろよ、ここは職場だぞ」

「俺は会ってるのかを聞いてるんだ！」

俊之は少し声のトーンを小さくしてから再び板倉に詰め寄る

「ハハッ、会うも何も雪子ちゃんには既にもう恋人がいるよ。それも超イケメンのハイスペックな男がなぁ」

板倉は先日雪子と手を繋いで歩いていた男を思い出しながら言った。

「雪子に男がいるのか？」

「お前何ムキになってるんだ？　もうお前と雪子ちゃんは関係ないんだぞ」

「俺は和真の父親だ！」

「そりゃそうだけど、雪子ちゃんに対してお前は何の権限もないんだぞ。雪子ちゃんもやっと幸せを掴んだんだからそっとしておいてやれよ。それが今お前が出来るせめてもの償いなんだからな」

板倉は冷ややかな口調で言うとその場を後にした。

一人残された俊之は、静かにテーブルの上をただじっと見つめていた。