テラーノベル
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「明日、英語のスピーチテストを行います」
英語教師・スミス先生の宣言に、クラスが一斉にどよめいた。
「やば、原稿どうしよ」
隼人は余裕の笑みを浮かべていたが、隣の大地は両手を頭に押し当ててうめいた。
「俺、全然考えてない……え、スピーチって、あのスピーチ?」
「そのスピーチだ」
隼人は苦笑しつつも、どこか面白がっている。
「大地、お前のネタ英語なら何でもウケるだろ」
「いやウケ狙いじゃないし! てか英語力ゼロだぞ!?」
翌日、スピーチ本番。
順番はくじ引き。大地の紙には見事「1」の数字。
「おい、持ってるな」
隼人が肩を叩く。
「持ってるっていうか持ってないっていうか……」
大地は青ざめながら前へ出た。
教壇に立つ大地。原稿など当然ない。
深呼吸一つ――そして、なぜかニカッと笑った。
「Good morning everyone!(みんなおはよう!) My name is Daichi…えーと…Happy boy!(俺はハッピーボーイ!)」
教室が一瞬静まり返り、次の瞬間どっと笑いが起きる。
「Today I talk…uh…very important thing!(今日はすごく大事なことを話します!)
Friendship is…えーと……super great!!(友情は……超グレート!!)」
「スーパーグレートって何だよ」
後ろから隼人が小声でツッコむ。
大地は耳を赤くしながらも続ける。
「Because friends… always smile!(友達はいつも笑ってくれるから!) So we… eat… ramen together!(だからみんなでラーメンを食べるんだ!)」
爆笑。
先生さえも「Ramen?」と眉を上げた。
だが大地は勢いに乗った。
「Ramen is… peace of world!(ラーメンは世界の平和!)
No ramen, no life!!(ラーメンなくして人生なし!!)」
クラスは大拍手。
スミス先生も「Interesting idea!(面白い考えだ!)」と笑いをこらえきれない。
席へ戻る大地に、隼人がささやく。
「お前……ラーメン外交かよ」
「ラーメンは世界を救うんだ!」
胸を張る大地。
隼人は呆れながらも、その無敵さに心の奥がくすぐられる。
(……なんでこいつ、こんなに楽しそうなんだ)
スピーチテストは当然のように“特別賞”。
大地は満面の笑みで親指を立てた。
「イエス! ラーメン・イズ・フレンドシップ!」
隼人は思わず笑いながら、拍手を送った。
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