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教室の空気はいつも重くて、俺はその中で呼吸をするのが苦しかった。何度も、何度も努力した。
話しかけ方、笑い方、黙るタイミングまで考え尽くした。
それでも、すべてが裏切りだった。
放課後、誰もいないはずの教室の隅で、またあいつらが待っていた。
「なあ、今日はどうだ?声出てんじゃねえよ」
俺の体に無理やり触れられるたび、冷たい刃が心に刺さる。
「んっ……あっ……や、やめろ」
震える声が漏れる。けれど、それは彼らの娯楽のスイッチを押す音だった。
壁に押し付けられ、ポケットから何かを取り出す音。
「これ、今日もお前専用だ」
俺は抵抗できず、体は反応してしまう。
「あっ……んっ……」
「やっぱりな、俺らの好きにされるために生まれてきたんだよな」
罵倒が耳を引き裂く。
蹴られ、叩かれ、弄ばれる体。
痛みは次第に感覚を溶かし、心はカラッポになっていく。
けれど、心のどこかで小さな灯が消えそうで、でも消えきれずにいた。
「俺は存在してちゃいけないんだ」
「汚いんだ」
自分を呪い、汚物のように扱われることに慣れてしまった。
こんなにも壊されているのに、誰も助けてくれない。
ただ、壊れていく俺を見て、みんなは安心する。
この世界で、俺はもう「人間」じゃない。
ただの遊び道具、笑い者、吐き捨てるガラクタ。
このまま溶けて消えたい。
けど、消える勇気も、助けを求める力も残っていなかった。