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うふふ直也さん、医師の前に1人の男性として心持って行かれたのかしらねー。
思い出してきた! 姉サンもともと無理して受験したんでしょう!受からないのに・・ 栞ちゃんなら受かる👍 貝塚先生に出会えて本当に良かった
思春期の友達関係の脆さ😨 異性が絡むと拗れるのは何故だぁ🤬 そしてお母さん〜娘の意志を尊重してあげて🙏姉が行けなかったからとかで押さえつけちゃだめだよ😔 ちゃんと姉妹それぞれに納得行くように腹割って話さないとね。
黙り込んだ栞を前にして、直也が次の作戦に移ろうと口を開きかけた時、栞が小さな声で言った。
「友達と上手くいってなくて…….」
勇気を出してそう言った栞を見て、直也の表情が柔らかくなった。
「よく話してくれたね。一つ伝えておくけど、医者は患者から聞いたことを他人に話してはいけないという決まりがあるんだ。守秘義務っていうやつね。だから君がここで話した内容は、君の許可なく他人に伝えることはないから、その点は安心して下さい」
直也の言葉を聞いた栞は、少し驚いた表情を浮かべた。
しかし、自分の話が誰にも知られることはないと分かると、ホッとしたような表情になる。
「で、上手くいってないっていうのは、どんな感じ?」
「…….急に無視されるようになりました。あとは細かい嫌がらせとか」
「それは困ったね。急に友達がそんな風になった理由って、心当たりあるの?」
「………」
「言いたくなかったら、無理に答えなくてもいいからね」
直也はそう言いながら、無関心を装いパソコンへ入力を続けた。
そんな彼の様子をチラッと見た栞は、重い口を開いた。
「友達が好きだった男子から交際を申し込まれて…….それから、そういう嫌がらせが始まりました」
直也は入力を続けながら言った。
「そういうこと…か。無視してくるのは、その友達だけ?」
「いえ…….もう一人の友達も。もともと三人で仲良くしていたんですけど……」
栞は淋しそうな表情で言った。
「そっか、それは辛いよね。君のせいじゃないのにね。で、その男子とはどうなったの?」
「もちろん断りました」
「それは友達に遠慮して?」
「いえ、私、今そういうの全然興味なくて。受験もあるし……」
「だよね! こんな大事な時期に告白するとか、その男子はタイミング悪すぎだよなぁ…」
直也が呆れたような声で言うと、栞は思わずクスッと笑った。
栞も彼と同じことを考えていた。
この受験の大事な時期、相手の事情をまったく考えずに一方的に気持ちを押し付けてくる。
そんな無神経な男が、栞は大嫌いだった。
一方、直也は、初めて栞の笑顔を見て、その可愛らしさに思わず見とれてしまった。
しかし、その笑顔の裏に潜む淋しさのようなものを、彼は決して見逃してはいなかった。
長年精神科医として働いてきた直感が、栞の内側に潜む深い悲しみを敏感に捉えていた。
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とにかく、彼女とはもう少し話をしてみる必要がある……そう感じていた。
そこで直也は、話題を変えた。
「じゃあ、今度は家族構成を教えてくれる?」
「家族構成?」
「家族の人数とか兄弟の有無とかね」
「あ、はい。家族は父と母と、姉が一人です」
「じゃあ、今は家に四人で住んでるのかな?」
「いえ、父が単身赴任で地方にいるので、家には母と姉と私の三人です」
「なるほどね。家には女性三人なんだ」
「はい…….」
「家族に対して、何か不満や悩み事はある?」
「………….」
「守秘義務はちゃんと守るから、安心して」
直也はニッコリと笑った。
その笑顔はとてもチャーミングで、栞が年上の男性に対してそんな風に感じたのは初めてだった。
その笑顔に見惚れているうちに、栞の口から勝手に言葉が突いて出た。
「大学を…….」
「ん? 大学を?」
「昔から行きたかった大学があるのですが、そこを受けてはダメだと言われて…….」
「誰に?」
「母に…….」
「えっ? なんでダメなんだろう? ちなみにどこの大学?」
「慶尚大学です」
「おーっ、俺の母校だ!」
直也はそう言って、再びニッコリと笑った。
「先生は慶尚大学なのですか? あ! そういえば医学部ありましたね」
「そうそう。で、なんでダメなんだろう?」
「………….」
「ちなみに模試の判定は?」
「Aです」
「すごいね! それなのにダメなの? 何でかな?」
「……..姉が…」
「ん?」
「二年前に姉がそこを受けて落ちたんです。それで、母にダメだって言われて」
直也は、意味が分からないといった顔をしている。
「お姉さんが落ちたから受けちゃダメって、どういうこと? 受けるのは本人の自由でしょ? どうしてそんなことを言うんだろう? 酷いよね」
栞は、目の前の医師が、自分と同じように思ってくれたことが、嬉しかった。
そして、どうして母がそう言ったのかを、説明してみようと思った。