📩 相談
高校二年生・仮名:Mさん
“普通でいたい”だけなのに、それすら難しいです。
頑張っても、浮き上がってしまう気がして……
みんなと同じようにしてるつもりなのに、どこかズレてる気がします。
それを気づかれないようにするために、余計に疲れてしまいます。
相談室。
薄い明かりの下、3人が机を囲んで座っている。
メールを読み上げたあと、静かな間が落ちた。
遥 「……“普通でいたい”ってさ。
めちゃくちゃ分かるよ。
オレも、変に見られたくなくて、
“周りと同じように”って考えるときある」
蓮司が横目で遥を見る。
蓮司 「でも遥、そういう時ってさ、逆に自分が何してるか分からなくなるんだよな」
遥 「そう。
“普通”の基準が周りにあるから、
自分のペースが全部乱される。
Mさんも、たぶんそれで疲れてんだと思う」
日下部が息を小さく吐く。
日下部 「“普通”って言葉が、もう罠なんだよ。
他人の基準を追いかけてる間は、
Mさん自身がどこにいるのか分からなくなる」
蓮司 「そうそう。
みんな“普通にしてるように見える”だけで、
実はけっこうズレてる。
オレだって、無理して合わせたらすぐバレるし」
遥が笑う。
遥 「蓮司は雑だからな」
蓮司 「うるせぇ。
……でもさ、Mさんは“頑張っても浮いてる気がする”って言ってるけど、
それって多分、周りより“ちゃんと見えてる”だけだよ」
遥がゆっくり頷く。
遥 「うん。
ズレを気にするのって、“周りを見てる”からだし。
むしろ鈍くない証拠だよ」
日下部が静かに続ける。
日下部 「……“普通でいたい”って願いは、
結局“安心したい”ってことなんだと思う。
浮いてるように感じるのは、
周りに合わせてきたMさんが、ずっと一人で踏ん張ってきた証拠」
蓮司がこぼすように言う。
蓮司 「“普通”ってさ、
周りに溶けることじゃなくて、
“自分でいても大丈夫だ”って思える状態なんだよ」
遥が最後にまとめる……のではなく、
ただ自分の考えをぽつりと落とす。
遥 「……“ふつう”に見られようとして疲れるなら、
いっそ少しズレててもよくね?
Mさんの“ズレ”って、たぶん悪いもんじゃない。
ただ、自分でまだ扱い慣れてないだけ」
日下部が小さく、でもはっきり言う。
日下部 「無理に周りに合わせなくていい。
“ズレてる自分”を嫌わないでいてほしい」
蓮司も短く。
蓮司 「追いつかなくていい。自分の歩幅でいい」
🗝 三人からのことば
遥:「“普通”に合わせなくていい。ズレてても、生きてていい」
蓮司:「周りの速度じゃなく、自分の歩幅を基準にしろ」
日下部:「“普通”に傷つく夜は、自分を取り戻すチャンスだ」







