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蓮司の相談室2

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蓮司の相談室2

82 - 第82話 明るいままじゃ、家に帰れない

2026年01月14日

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「……あー、別に深刻じゃないんで」


相談者は笑いながら言う。

声は大きいし、態度も軽い。


「ほう。

その“別に”が出たときは、だいたい深刻だ」


蓮司はコーヒーを置く。


「家のこと?」


「……まあ」


「陽キャが“まあ”って言うときは、話したくないときだな」


「ちょ、決めつけひどくないですか」


「当たってるだろ」


相談者は笑うけど、目だけが笑ってない。


「家に帰るとさ、急にテンション下がるんすよ」


「うん」


「親、仲悪いとかじゃないし。殴られるとかでもないし」


「“でも”が続くな」


「……家にいると、自分が邪魔な感じする」


蓮司は少しだけ眉を上げる。


「誰かに言われた?」


「いや。言われないのが逆にきついっていうか」


「なるほど」


沈黙。


「なあ」


蓮司が言う。


「お前、家で“明るくしなきゃ”って思ってないか」


相談者は一瞬、言葉に詰まる。


「……あー」


「学校と同じこと、家でもやってる顔だ」


「……やってますね」


「それ、しんどいだろ」


相談者は肩をすくめる。


「でも、暗くすると空気悪くなるし」


「誰の責任だ?」


「……俺?」


「違う」


蓮司は即答する。


「家庭の空気を保つ係は、子どもじゃない」


少し間を置いて。


「でもな、お前は“いい子”が上手すぎる」


「……」


「明るいと助かる。

文句言わないと楽。

だから周りは甘える」


相談者は笑おうとして、やめた。


「家でくらい、何もしないでいいって思いたいです」


「それ、普通の願いだ」


「でも、俺が黙ると、全部止まる気がして」


蓮司は椅子にもたれる。


「止まらない」


「え」


「止まるなら、元からお前一人で回ってた家だ」


相談者はゆっくり息を吐く。


「……学校では、俺が元気じゃないと変じゃないですか」


「変だな」


「やっぱ?」


「“元気なやつ”って役を降りられないのは、それもうキャラじゃなくて檻だ」


相談者は黙る。


「なあ」


蓮司は少しだけ声を落とす。


「陽キャでも、家で元気じゃなくていい」


「……」


「外で笑えるなら、それはもう十分頑張ってる」


最後に、軽く。


「家で黙ってるお前も、ちゃんと本人だからな」


相談者は小さく笑った。


「それ、初めて言われました」

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