テラーノベル
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放課後。
教室には夕方の光が差し込んでいる。
何人か残っていた生徒も帰り、静かな時間になっていた。
相談者はスマホを机に置いたまま、画面を伏せている。
「俺、最近ちょっと変なんです。友達が嫌いになったわけじゃないんです。むしろ好きです。一緒にいて嫌なわけでもない。でも、距離置きたくなる」
教室が静まる。
「連絡来ても返すの面倒で、誘われても行く気になれなくて。会ったら普通に話せるんです。楽しい時もある。なのに、一人になりたくなる」
視線が落ちる。
沈黙。
「何かあったか」
遥が聞く。
相談者は首を横に振る。
「特にないです。喧嘩したわけでもないし、嫌なこと言われたわけでもない。だから余計に申し訳なくて」
教室が静まる。
「向こうは何も悪くないのに、俺だけ勝手に離れて。最低だなって。前はもっと普通にできてた気がするんですけどね」
遥は窓の外を見る。
「会うと疲れるか」
短く。
相談者は少し考える。
「……疲れます。嫌ではないです。でも、帰るとぐったりする」
沈黙。
「一人の方が楽か」
「楽です」
即答だった。
相談者は少し困ったように笑う。
「でも、一人ばっかりだと寂しくなる。面倒くさいですよね」
遥は机に指を置く。
「疲れてるだけかもしれない」
短く。
相談者は顔を上げる。
「え」
「嫌いになったとは限らない。人間関係にも体力使う。余裕ない時は、好きな相手でも距離取りたくなる」
沈黙。
相談者は止まる。
「……そんなことありますか」
「ある」
短く。
「家族でも。友達でも。好きなことでも。近づけない時はある」
教室が静まる。
相談者は机を見る。
「でも、離れたら嫌われそうで。冷たいって思われそうで。そのまま関係終わったら嫌なんです」
遥は少し考える。
「無理して続けても、きつい」
教室が静まる。
「それに」
遥は続ける。
「距離を置くことと、見捨てることは違う」
沈黙。
相談者は黙る。
「俺、距離を置く=嫌いになる、みたいに思ってたかも」
遥は窓の外を見る。
「近いままじゃないと続かない関係ばかりじゃない」
短く。
「連絡少なくても。たまにしか会わなくても。切れてないものはある」
教室が静かになる。
相談者はしばらく考えていた。
「何か、俺、人が嫌になったんじゃなくて、今、人といる元気が少ないだけなのかもしれない」
遥は鞄を肩にかける。
「そういう時期もある」
夕日が少しずつ薄くなっていく。
ruruha
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ruruha
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#一次創作
ruruha
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嫌いになったわけじゃない。
大切じゃなくなったわけでもない。
ただ、
少し疲れていて、
少し余裕がなくて、
今は一人の時間が必要なだけ。
そんなことも、
人にはあるのかもしれない。
コメント
1件
おお、第13話読んだわ…。めっちゃ沁みた。 「距離を置くことと、見捨てることは違う」って言葉、ずっしり来た。確かにそうだよな。好きな相手でも、元気がないときはちょっと離れたくなる。それを「冷たい」じゃなくて「そういう時期」って認めてくれる遥の返しが、すごく優しくてリアルだった。相談者の「人が嫌になったんじゃなくて、人といる元気が少ないだけ」って気付き、すごく共感する。日常のモヤモヤに名前をつけてくれた回だった。ありがとうruruhaさん🔥