📩 相談
高校一年生・仮名:Mさん
家にいるのが、最近しんどいです。
兄が二人いて、昔から比べられてきました。
テストの点、運動、性格、どれも兄の方が上で、
私は「おとなしい」「手がかからない」で片づけられます。
何も言われないのに、期待されてないのが分かって、
でも同時に「迷惑かけないでね」って空気だけは強くて。
兄たちが褒められるたびに、
自分がいないみたいな気持ちになります。
嫌いなわけじゃないのに、
一緒にいると苦しくて、家族なのに距離を取りたくなります。
こんなふうに思う自分が、冷たいのかなって考えてしまいます。
遥
「……これ、きついな」
「比べられてるのに、“期待されてない側”ってやつだろ」
「一番しんどいやつじゃん、それ」
蓮司
「うん。褒められない代わりに、
“問題を起こさない役”を無言で押し付けられてる」
「それってさ、見てないのと同じなんだよ」
日下部
「……Mさん、冷たくない」
「むしろ、ちゃんと家族を感じてるから苦しいんだ」
「本当にどうでもよかったら、何も感じないから」
遥
「てか、“何も言われない”のが一番残るんだよな」
「怒られもしない、褒められもしない」
「存在が薄くなる感じ」
蓮司
「兄弟って、“同じ物差しで比べられる存在”だからさ」
「逃げ場がないんだよね」
「家って、本来は役割から降りていい場所なのに」
日下部
「……“手がかからない”って言葉は、便利すぎる」
「その裏で、どれだけ我慢してるか見なくて済むから」
遥
「Mさんさ、たぶん“期待されてない”んじゃなくて」
「“勝手に大丈夫な人”にされてる」
「それ、期待より質悪い時ある」
蓮司
「そう。失敗も弱音も、想定されてない」
「だから、苦しくなっても気づかれにくい」
日下部
「……家族の中で感じる孤独は、外より深く刺さる」
「だって、“分かってもらえるはず”って思ってしまうからな」
遥
「兄を嫌いになりかける自分も、怖いよな」
「でもそれ、兄が原因っていうより」
「環境がそうさせてるだけだから」
蓮司
「Mさんが距離を取りたくなるのは自然だよ」
「自分を守ろうとしてる反応だから」
「冷たいんじゃない」
日下部
「……“家族なんだから分かり合える”って幻想、あるからな」
「分かってもらえなかった経験が積み重なると、
逆に距離が必要になることもある」
遥
「無理に“いい妹”でいなくていい」
「言葉にできなくても、
“今しんどい”って感覚を、まず自分が否定しないでほしい」
蓮司
「比べられて育った人は、
自分の価値を“順位”で測りがちになる」
「でも、Mさんの価値は、兄と並べなくてもある」
日下部
「……家で役割がきついなら、
外に“役を脱げる場所”を一つ作るといい」
「人でも、場所でも、時間でも」
遥
「“兄弟なのに苦しい”って思う自分を、
悪者にしなくていい」
「それでも一緒に生きてきたって事実は消えないから」
蓮司
「Mさんは、もう十分耐えてきた」
「これ以上、黙って立ってなくていい」
日下部
「……比べられなかったら、本当はどんな子だったか」
「それを、これから知っていけばいい」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!