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白山小梅
優人とのやり取りにもすっかり慣れ、七星の毎日は以前よりずっと楽しく、心が満たされていた。
一人の男性とこれほど頻繁に連絡を取り合うのは初めてで、その新鮮さに胸が弾む。
にやけた七星の顔を見て、百花が呆れたように言った。
「はぁ~……あたしは男と別れて孤独だっていうのに、ここには東京の名医とラブラブな女がいるわけね。それも将来有望な外科医で、顔まで超イケメン。神様って本当に不公平!」
嘆く百花に、七星は慌てて首を振る。
「違うから……そんなんじゃないから」
「違う? じゃあいったい何なの? 名医よ! エリート街道まっしぐらの名医よ? そんなドクターが、どうして田舎の病院の看護助手と毎日メッセージするわけ?」
「そ、それは……えっと……そう! 名医だからだよ。先生は毎日、人の命を預かって緊張の連続なの。その合間に“どうってことのない看護助手”と冗談を言い合って、気持ちをほぐしてるだけ。だから私は、心理カウンセラーみたいな立ち位置なの」
「ちょっと待って。それって、七星が先生を癒してるってこと? ほえ~、驚いた! 十歳以上年上の名医を、七星が相手してあげてるってわけ?」
「そうだよ。だから、そんなに騒ぐことじゃないんだよ」
「なんだ~。てっきり、二人はそういう関係かと思ってたけど、違ったんだ。ただの他愛もない日常会話をしてるだけだったんだ」
「そうそう……」
二人が特別な関係ではないと分かると、百花はあっさり機嫌を直した。
もちろん七星自身も、優人との関係が特別だとは思っていない。
たまたまこの病院で出会い、七星が優人の妻にそっくりだった――ただそれだけのこと。
それをきっかけに連絡先を交換し、今もこうしてやり取りが続いているだけなのだ。
(勘違いしちゃだめ……)
そう自分に言い聞かせながら、七星は節度を保って優人との会話を楽しんでいた。
一方、七星と距離ができてからというもの、優人の胸に募る思いは、もはや否定できないほど強くなっていた。
離れてみて初めて、自分がどれほど彼女を求めていたのかが分かる。
連絡先を交換するなんて子供じみたことではなく、あのとき告白して、無理にでも東京へ連れてきていれば――そんな後悔が何度も頭をよぎった。
だが東京に戻った優人は、想像以上の多忙な日々に追われていた。
もしあのとき七星を連れてきていたとしても、彼女と向き合う時間などほとんど取れなかっただろう。
そう思うと、今はこれでよかったのかもしれないとも思う。
もちろん、このまま曖昧な関係を続けるつもりはない。
いずれ必ず、一歩踏み込み、正式に交際を申し込むつもりだ。
だが今はまだその時ではない。
まずはここでの立場を確固たるものにしてから、改めて彼女に会いに行く――優人はそう心に決めていた。
その日、長時間に及ぶ手術を終えた優人は、身も心も限界に近かった。
途中患者の容態が急変し冷や汗をかいたが、なんとか持ち直し、予定より二時間遅れで手術を終えた。
医局に戻った優人は、自宅まで我慢できず、ソファで少し仮眠を取ることにした。
静かに寝息を立てる優人のもとへ、白衣姿の麗華がそっと足を踏み入れた。
誰もいない部屋でぐっすり眠る優人を見つめ、彼女はふっと微笑む。
(長い手術だったものね……)
そう思いながら寝顔を覗き込んだ瞬間、優人の顔の横にある携帯が音もなく震えた。
(誰かからメッセージ?)
気になった麗華は、優人を起こさないようにそっと携帯を手に取る。
そして待ち受け画面を見た瞬間、息をのんだ。
そこには、海を背景に肩を寄せ合い、笑顔を向ける優人と――彼の妻にそっくりの若い女性が写っていた。
(こ、これは……美奈子さん? ううん、違う……もっと若いわ。どういうこと? これが先輩の新しい恋人……?)
麗華はショックで写真から目が離せなかった。
(この服装は看護師じゃないわ……もしかして看護助手? 名札には“遠坂”って書いてある。まさか赴任先の病院の看護助手と……? それも、美奈子さんにそっくりの子と?)
そのとき、再び携帯が震えた。
ロックがかかっていなかったため、メッセージがそのまま表示される。
【先生。急なんですが、明日東京に行くことになりました。もし時間が合えば、ちょっとだけ会えませんか? 実は相談したいことがあるので……】
(東京に来る? この女が? しかも先輩に会いたいだなんて……なんて図々しい! 先輩はあんたみたいな田舎の看護助手に構ってる暇なんてないのよ!)
怒りと嫉妬に任せ、麗華はそのメッセージを静かに削除した。
ちょうどそのとき、優人が寝返りを打とうとしたため、麗華は慌てて携帯を元の位置に戻し、彼が目を覚ます前に医局を後にした。
翌日。
昨日送ったメッセージの返事が来ないことに、七星は不安を募らせていた。
(せっかく勇気を出して送ったのに……やっぱり迷惑だったかな)
優人が忙しいのは分かっていた。
それでも、一人で東京へ行くのは不安だったので、つい頼ってしまった。
返事がないことで、七星は自分の行動を悔やんでいた。
東京へ行くことになったのは突然だった。
数日前、東京の弁護士から電話があり、長く行方の分からなかった父が病気でなくなったと知らされたのだ。
亡くなったのは数か月前で、相続について話があるという。
女を作って家を出た父だったため、七星は父の死を聞いても涙は出なかった。
遺産も受け取るつもりはなかったが、拒否するにも、一度弁護士と会わなければならないらしい。
そういったことに疎い七星は、弁護士に会う前に優人に相談したかった。
だが返事がないところを見ると、やはり迷惑だったのだろう。
七星は返事が来ない携帯をじっと見つめ、ふーっと重い息を吐いた。
コメント
43件
どなたかと思ったらAIのコメント📝⁉️ ビックリだったわ🫢‼️
毎日メールのやり取りしてたら七星ちゃんからのメールがないことに気づかない優人先生では無いはず✨ そしてkyonちゃまの優人先生ご両親捕獲❣️もナイス👍アリエソウ🌸🌷 優人先生の背中を押してくれてるご両親だから七星ちゃんの人柄にも好感持ってくれると信じたい🎶🎶
えーー!!めっちゃ腹立つーー!! ( ºДº)キーッ💢 女豹めーー最低やーーー!! 七星ちゃん💧不安の中、東京に来てるのに、優人先生と連絡取れなくて…さらに不安になるよね🥲︎ なんとか2人が繋がりますように (*>人<)