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蓮司の相談室２

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蓮司の相談室２

第15話 - 第15話

2025年10月15日

#BL

#一次創作

#お悩み相談室

#短編

#読み切り

ruruha

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夕暮れの教室跡に、静かにドアが開く。蓮司は机の端に肘をつき、ペンをくるくる回しながら顔も上げずに言った。

「入れよ」

中に入ってきたのは、制服の肩が少し傾いた少年。

目を伏せ、手は膝の上で組まれていた。

「……あの、相談があって……」

蓮司は顔を上げ、じっと相手を見た。

「……で、何だ。聞くだけなら別に時間無駄にしねぇ」

少年は息を吐き、言葉を紡ぐ。

「俺……自分の弱さが嫌いなんです。

友達の前では笑えても、家では何もできない。

少しでも怒られたり、失敗すると全部ダメな気がして……」

蓮司はペンを止め、短く笑った。

「嫌いかぁ。まあ、普通の感覚だろ」

「……普通？」

少年は顔を上げた。

「ああ。弱い自分が嫌いになるのは、成長してる証拠だ。

逃げたくなるのも、泣きたくなるのも、全部お前がちゃんと感じてる証拠」

蓮司の声は軽いけれど、核心を突く響きがあった。

「でも……それでも、俺は強くなれない」

少年は拳を握りしめる。

「強さなんて、順番に手に入れるもんじゃねぇ。

ていうか、強さってのは、弱さを知ってる奴だけが手に入れるもんだ」

蓮司は視線を窓の外に向け、指先でペンを弾く。

「弱さを嫌いだって思えるお前は、もう十分強いよ。

嫌いになった自分を否定すんなよ」

少年は少し黙った。

夕陽が差し込む窓の光が、肩の影を伸ばす。

「……でも、恥ずかしいです」

小さな声が漏れる。

「恥ずかしいもクソもねぇよ。

誰も完璧じゃねぇんだから。

それに、弱い自分を隠すより、ちゃんと見てやったほうが楽だ」

少年は息を吐き、少しだけ肩の力を抜いた。

「……なるほど」

蓮司はペンを机に置き、椅子にもたれる。

「弱さを嫌いでもいい。

ただ、嫌いなまま潰れるなよ」

少年は微かに笑った。

「はい……」

蓮司は口の端を軽く上げ、ちらりと相手を見た。

「ま、俺は答えなんて持ってないけどな」

夕暮れの光の中、二人の影が長く伸びていた。