テラーノベル
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シャツを脱がされた瞬間、空気が変わった。
誰も触れない。
ただ、見る。
「……うわ」
誰かが、声を落とした。
遥の身体には、
新しい痣と、古い痕が、区別なく重なっていた。
色も形も揃っていない。
治ったはずの場所が、また浮き上がっている。
「これさ」
「前からあったよな」
別の声。
「てか、普通じゃねぇだろ」
「どんだけ問題起こしてんだよ」
笑いが混じる。
遥は、視線を落とす。
(見られるのは……殴られるより……きつい)
「なぁ、説明しろよ」
「なんでこんななんだ?」
誰かが一歩近づく。
触れない距離で、止まる。
それだけで、遥の肩が跳ねる。
「……ごめん」
自分でも驚くほど、声が出た。
「え?」
「今の何?」
「ごめん……ごめんなさい……」
謝る理由はない。
でも、謝らないと“次”が来ることを、身体が知っている。
「謝るってことは?」
「自分が悪いって認めたんだよな?」
「ごめん……俺が……悪いです……」
言葉が、勝手に落ちていく。
誰かが、遥の腕を持ち上げる。
強くはない。
でも、逃げられない力。
「ほら、ここ」
「これも?」
遥の喉が鳴る。
「……ごめん……やめ……ごめんなさい……」
“やめて”と“ごめん”が、混ざる。
「なにそれ」
「必死すぎ」
笑い。
「そんなに謝るならさ」
「ちゃんと見せろよ」
シャツを戻すことは、許されない。
遥は、歯を食いしばる。
「ごめん……ほんとに……」
言えば言うほど、
自分が“壊れてる証拠”を積み上げている感覚がする。
「ほら、声小せぇ」
「反省してるなら、ちゃんと言え」
「ごめんなさい……!俺が……俺が悪かったです……!」
声が、裏返る。
その瞬間、
誰かが吐き捨てるように言った。
「キモ」
「やっぱ普通じゃねぇわ」
遥は、その言葉で理解する。
(謝っても……もう、戻れない)
でも、口は止まらない。
「ごめん……ごめん……ごめんなさい……」
誰も止めない。
誰も満足しない。
謝り続ける姿そのものが、制裁だった。
コメント
1件
うわ……これ、心臓がぎゅってなったよ。遥くんの「ごめん」が、本当は違うのにって分かってるのに止まらなくて、読んでるこっちまで息が詰まるみたいだった。身体に刻まれた傷もそうだけど、「キモ」って一言が一番重くて、もう戻れないって本人が感じちゃってるところが辛すぎる……。ruruhaさんの描く空気感、すごいリアルだよ🤍