コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
教室のドアを開けると、いつものざわめきが一瞬止まった。目の端に集まる視線。机の下から、誰かの手が伸び、剥がされた爪の指先に軽く触れる。痛みが一気に走り、思わず肩を震わせる。
「……やめろ……あっ、くっ」
呻き声が自然に漏れた。懇願の声だ。謝罪ではない。痛みに耐えるしかない。
「おい、手見せろよ。爪どうなってんだ?」
男子が笑いながら命じる。机の下で手を守ろうとするが、隣の女子が腕を押さえつけ、逃げ場を塞ぐ。鉛筆の先が爪の隙間に押し込まれ、激痛が走った。
「痛いって……ほんとに……やめてくれ……!」
思わず声が大きくなる。男子は笑みを崩さず、さらに指先を押す。痛みが鋭く、腕全体にまで広がる。
女子が肩越しに焦げた髪を触れ、指でくるくると弄る。熱湯の跡が赤黒く浮かび、触れるだけで痛みが体に跳ね返る。
「わあ、髪も焼けてるじゃん。何したの?」
からかう声が、教室の空気を重くする。羞恥と痛みが重なり、胸が締め付けられる。思わず膝を抱え、体を小さく丸める。
「……や、やめ……っ、お願い……」
声が震える。懇願しても、肩を押さえつける手や、鉛筆で爪の間を突く指は止まらない。逃げる隙間はない。痛みが断続的に襲い、息が荒くなる。
「もっと反応見せろよ」
リーダー格の男子が笑い、周囲のクラスメイトも手を伸ばす。剥がされた指先、熱湯跡の腕、焦げた髪――すべてが遊び道具にされ、痛みと羞恥が連鎖する。
「……くっ……や、やめ……うっ……お願い……」
嗚咽が混じる声。体は小刻みに震え、息を詰めることしかできない。羞恥で顔が熱くなる。クラス全員の目が、自分の痛みを楽しむように注がれる。
男子はさらに机で肩を押さえ、腕をつねりながら鉛筆で爪の間を擦る。女子は髪や肩に触れ、焦げた跡を見せつけるように弄る。痛みと羞恥が絶え間なく絡みつき、体は逃げ場を求めて縮こまる。
「……やめ……お願い……」
呻き混じりの声が繰り返される。沈黙は許されず、痛みと羞恥が教室全体に充満する。体も心も徹底的に縛られ、日常の空間が悪夢へと変わった。