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放課後の教室。窓から差し込む夕陽が、机に長い影を落としていた。大地はノートを閉じ、ため息をひとつ。
「なあ、大地」
不意に隼人が声をかける。
「ん?」
「おまえさ、最近柊とよく話してるよな」
問いかける声は、何気ない風を装っていたが、わずかに棘を含んでいる。
大地は首をかしげた。
「普通だろ?同じクラスだし」
「普通にしては、笑いすぎじゃね?」
夕陽を背に立つ隼人の目が、鋭く光った。
大地は苦笑して肩をすくめる。
「嫉妬か?」
「……べつに」
短く返した隼人の耳が、赤い。
その色を見て大地は少しだけ優越感を覚える。
「心配すんなよ。俺はおまえを置いていったりしない」
「……そういうことじゃない」
隼人は言い捨て、窓際に視線を逸らした。
その横顔に映る寂しげな影を、大地は見逃さなかった。
胸の奥で小さな波紋が広がる。
それが友情なのか、もっと別の感情なのか、大地にはまだ分からなかった。