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華子の初恋

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「華子の初恋」のメインビジュアル

華子の初恋

第39話 - 第39話

50

2024年07月23日

#恋愛

#大人の恋愛

#大人ロマンス

#第3回テノコン

#ハッピーエンド

#純愛

瑠璃マリコ

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瑠璃マリコ

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朝食を終えた二人は、いつもの時間に家を出た。

陸は今日も華子をカフェの前で降ろしてくれた。

この後陸は、他店に打ち合わせに行ってから事務所へ顔を出すらしい。

華子が車から降りる際、陸はスマホのメッセージの連絡先を教えてくれと言ったので華子は教えた。

「何かあればこれで連絡するからちゃんと昼休みにチェックしろよ」

陸はそう言い残して走り去って行った。

華子がカフェへ出勤すると店長の中澤がいたので、挨拶をしてから従業員休憩室へ行く。

するとロッカーの前にはパートの野村がいた。

今日のシフトは野村と一緒だと分かり華子はホッとした。

華子は野村に挨拶をしてから少し雑談をした。

野村の話によると、華子がまだ会っていないスタッフがあと一人いるらしい。

そのスタッフは女性で、主に混雑する土日にシフトが入っているそうだ。

次の土日には来るだろうから、その時には会えるわよと野村は言った。

（一体どんな人なんだろう…美咲みたいなタイプじゃない事を祈るわ）

華子はそう思いながら野村と一緒にフロアへ行き仕事を始めた。

華子が昼休みに休憩室でマフィンを食べていると、スマホにメッセージが届いた。

メッセージは元愛人の野崎からだった。

【荷物は明日の午前届く。俺がお前に貢いだブランドバックや服は全て回収させてもらった！　以上！】

そのメッセージを見た華子は激怒する。

（ハァッ？　愛人になる前のプレゼントまで持っていかれるなんてまじアイツクソだわっ！）

華子は怒りを込めて呟く。

愛人時代にもらった物は仕方ないとしても、クラブ時代の貢ぎ物はいわば戦利品だ。

それらは全て女の魅力を武器にし手に入れた宝物だ。

楽をして手に入れたわけではない。

日々のきめ細やかな接客や、自分磨きの努力を重ねた上での戦利品なのだ。

それまであっさり奪われるとは。

華子は怒りでいっぱいになる。

なぜそんなに怒っているかと言うと、華子は客からのプレゼントを全て売りに行こうと思っていたからだ。

売って少しでも資金にして今後に生かそうと思っていた。

華子はもうブランドやジュエリーなどに対する興味や執着は一切失せていた。

だから売ってお金にし、今後の生活で有意義に使おうと思っていたのだ。

（アイツのせいで計画が台無しだわっ！！！）

華子が吐き捨てるように言った時、またメッセージが届いた。

今度は陸からだった。

【今日はジムはパスしよう。仕事が終わったら買い物に付き合って欲しい。　6時にマンションの前で待っていてくれ】

それを見た華子は、

（買い物？　一体何を買うつもりなのかしら？）

と不思議そうに首をひねる。

（ま、いっか。あのキツイジムでのトレーニングをサボれるならラッキーだわ）

華子はすぐに陸へ【了解！】と返信した。

その日はノンストレスで穏やかに過ぎていった。

一緒に働く相手が優しい人達だとストレスが全くない。

華子はいつも優しく教えてくれる野村に対して、

感謝の気持ちでいっぱいだった。

四時半になると、野村が先に仕事から上がった。

その後は、だいぶ慣れて来たカフェのクローズ業務を中澤と一緒に行う。

そして今日も定時に仕事を終えた。

ロッカーでエプロンを外すと華子は休憩室を出る。

帰り際、厨房の本間の所へ寄り昨日の味見とお花のお礼を言った。

それから少し本間と立ち話をしてから、

「明日は私は休みなので、また明後日ですね！」

華子は笑顔で手を振ると厨房を後にした。

すっかり元気になった華子を見て、

本間はホッとしている様子だった。

マンションへ戻ると華子は軽く化粧を直す。

『どこに買物に行くんだろう？　ジーンズのままでいいのかな？　と言っても、今はこの服しかないんだったわ！』

思わず苦笑いをすると、華子はセーターの裾を引っ張り皺を直した。

それから後ろで結んでいた髪の毛をほどき、サッとブラッシングをしてから肩に垂らす。

（まあジーンズだけれど、セーターがピンクだから少しは華やに見えるわね）

華子はそう自分を納得させる。

その時、ふと思い出す。

（これに野崎に買わせたダイヤのネックレスをすると素敵だったのになぁ…あれもきっと戻ってこないわね…）

華子は改めてガックリと肩を落とした。

今まで多くの客に様々なブランド物や宝石を買って貰ったが、やはり一番高額なプレゼントは資産家の野崎からのプレゼントだった。

その品が全部なくなるのは痛い。

華子は未練がましくいつまでもそのジュエリー達を思い浮かべていたが、頭を振ってなんとか気を取り直す。

そしてバッグを手にして部屋を出た。

そう言えば、バッグもずっと同じものを使っている事に気付く。

（まあ明日になれば荷物が届くからそれまでの我慢ね）

華子はそう思いながら胸を張って歩き出した。