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柔らかな夕日が窓際を染め、三人の影が床に長く伸びていた。相談室には、蓮司・日下部・遥が並んで座っている。
蓮司「なあ、好きなことってみんなちゃんと持ってるもんなのかね」
日下部「突然どうした」
蓮司「今日、クラスのやつが“自分の軸が大事”って話しててさ。
俺、自分の軸ってなんだろうって考えたら、なんも出てこなかった」
遥「別に、なくてもいいだろ」
蓮司「でも周りは“これが好き”とか“これで食ってく”とかあるじゃん。
俺、ただ流されてるだけで……空っぽかもって思った」
日下部「流されてること自体が悪いわけじゃない。
軸なんて、勝手に出来るときに出来るもんだ」
遥「……空っぽなら、何でも入れられるってことだろ」
蓮司は目を丸くし、ふっと息を吐いた。
蓮司「お前ら、そうやってあっさり言うよな。
ちょっと気が楽になったわ」
日下部「別に答えなんて急がなくていい。
今のままで十分だ」
三人の間に、夕暮れのオレンジ色だけが静かに広がった。