TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

蓮司の相談室2

一覧ページ

「蓮司の相談室2」のメインビジュアル

蓮司の相談室2

94 - 第94話 味方を作ると、潰される構造

2026年01月31日

シェアするシェアする
報告する

相談者は、今日は静かだった。

椅子に座っても足は動かない。


「珍しいな」


蓮司が言う。


「なにが」

「最初から黙ってる」

「今日は喋る内容が、あんま明るくない」

「ここ、そういう日多い」


相談者は苦笑した。


「学校でさ」

「うん」

「味方っぽい人、できたんだよ」

「お、いい話?」

「……普通ならな」


蓮司は続きを待つ。


「最初はさ」


相談者は指先を見つめる。


「ノート見せてくれたり、声かけてくれたり」

「自然だな」

「うん。だから油断した」

「で?」

「次の日から」


少し間。


「その人、呼ばれなくなった」

「どこに」

「グループ。昼。放課後」


蓮司は眉を上げる。


「理由は?」

「分かんない」

「でも」

「俺と仲良くしたから、って空気」


相談者は言い切った。


「直接言われた?」

「言われない」

「一番やだな」

「視線で分かる」


蓮司は椅子にもたれた。


「その人、どうした」

「離れた」

「お前から?」

「向こうから」

「責められないな」


相談者は小さく頷く。


「俺さ」

「うん」

「それ見て思った」

「何を」

「誰かと仲良くすると、迷惑になる」


蓮司はすぐには返さなかった。


「その構造」

「?」

「意図的だな」

「誰が?」

「集団」


相談者は顔をしかめる。


「自然じゃないの?」

「自然に見せてるだけ」

「どういう」

「孤立してるやつに近づく=リスクって学習させてる」

「……あ」

「だから」


蓮司は淡々と言う。


「誰も直接禁止しない。

でも結果は同じ。

近づかなくなる」


相談者は息を吐いた。

「俺が悪いみたいになる」

「される」

「実際は?」

「位置の問題」

「位置」

「弱い場所にいるやつは、繋がると引きずられると思われる」

「事実じゃん」

「事実っぽく使われる」


少し間が空く。


「なあ」


相談者が言う。


「じゃあ俺」

「うん」

「一人でいた方がいい?」

「選択としては、合理的」

「きつ」

「きつい」


蓮司は否定しない。


「でも」

「?」

「全部の味方を、同じ場所で作る必要はない」

「学校以外?」

「それも」

「ここ?」

「ここも」


相談者は考える。


「学校で味方作ると、潰される」

「なら」

「?」

「学校では、役割だけでいい」

「友達じゃなく?」

「同じじゃなくていい」


相談者は少し戸惑う。


「冷たくない?」

「現実的」

「俺、冷たい人になりたくない」

「なってない」

「でも距離取るじゃん」

「守る距離」


蓮司は続ける。


「全部差し出すと、奪われる場所もある」

「じゃあ」

「うん」

「差し出さなきゃいい?」

「選ぶ」

「誰を?」

「場所を」


相談者は静かに言う。


「味方ってさ」

「うん」

「一緒にいる人だと思ってた」

「違う」

「え」

「離れても崩れない関係」


相談者は少し驚いた顔をした。


「それ、学校じゃ無理じゃん」

「だから」

「?」

「学校で完結させない」


相談者は立ち上がる。


「俺さ」

「うん」

「また誰かに声かけたら、その人潰れるかもって思う」

「思うだろ」

「どうすりゃいい」

「助ける前に、相手の逃げ道を考える」

「逃げ道」

「一人で立てるか。別の居場所があるか」


相談者は黙る。


「全部背負わなくていい」

「でも見捨てるみたい」

「違う」


蓮司ははっきり言った。


「生き残る順番を間違えないだけ」


相談者はしばらく何も言わなかった。


「なあ」

「なに」

「俺、ずるい?」

「賢い」

「……」

「潰れない選択してるだけ」


相談者は小さく笑った。


「ここでは?」

「うん」

「味方、作っていい?」

「もうできてる」

「え」

「潰れない場所でな」


相談者は、少しだけ肩の力を抜いた。

loading

この作品はいかがでしたか?

0

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚