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放課後の教室。黒板の前で大地が机をバンと叩いた。
「諸君、重大事件が発生した! 購買で買ったチョコパイが忽然と姿を消したのだ!」
クラスがざわつく。
「知らねーよ」
「探偵ごっこ始まったぞ」
隼人は呆れ顔で腕を組んだ。
「……またお前かよ」
「容疑者はこの教室にいるッ!」
大地は目を輝かせ、勝手に推理劇をスタート。
「第一の容疑者、隼人! いつも俺をからかってエネルギーを消費するから甘い物を欲した可能性が高い!」
「はぁ!? 俺が盗むか!」
クラスがドッと笑う。
「第二の容疑者、柊! 運動神経バツグンで素早く証拠隠滅できる!」
柊はニヤリと肩をすくめる。
「俺ならそんなことしない。……でも、大地が必死に捜査する顔は嫌いじゃないな」
挑発的な視線を隼人へ。
隼人の眉がぴくりと動く。
「探偵×助手のコンビ誕生か!?」
萌絵が目を輝かせ、涼が即座に低声で応じる。
「名探偵大地にツッコミ助手隼人……最高だな」
「お前ら実況やめろ!」
隼人が振り向くが、二人はにやにや。
大地はさらに勢いを増す。
「よし、ここは実験だ! みんな机の中を調べて――」
「お前の机は?」
隼人が冷静に指摘する。
「あっ」
大地は自分の机をガサゴソ。
……出てきた。
銀紙に包まれたチョコパイが、ひょっこり顔を出す。
教室、大爆笑。
「お前かよ!」
隼人が頭を抱える。柊も肩を震わせ笑っている。
大地は真っ赤になって両手を合わせた。
「……犯人は、俺でしたぁぁぁ!」
深々とお辞儀。クラスの笑いが最高潮に達する。
隼人は呆れつつも、どこか安心したようにため息をついた。
「まったく、お前ってヤツは……」