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そして数日後、夜。
チャイムが鳴る。
誰も訪ねてくるはずのない時間。
インターホン越しに映ったのは、蓮翔だった。無言で、目だけが笑っていなかった。
「久しぶり。話、あるよな?」
強制的な再会だった。
家の中に入ることを拒否できず、靴を履いたまま蓮翔は上がり込んだ。
「でさ、最近さ……動画、バズってるらしいじゃん」
ソファに腰掛けた彼は、勝手に自分のスマホを操作しながら言う。
「でも、まだ足りないと思うんだよね、あれだけじゃ」
悠翔は返事をしない。
しないことで、全てを許容してしまっている自分に気づきながら、ただ立ち尽くしていた。
「撮らせてよ、今の“おまえ”」
蓮翔の声は笑っていた。けれど、それは命令の形だった。
「変わってないだろ? どうせ、おれらが来たら、また元通りなんだよ」
蓮翔の背後に、陽翔と蒼翔の名前が浮かんだ。
それぞれが、別の形で、悠翔の「大学生活」に干渉し始めていた。