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沙夜が連れてこられたのは、ホテル最上階のスイートルームだった。
初めて二人きりで過ごすには十分すぎるほど静かで、落ち着いた空間。
扉をくぐった瞬間、沙夜は思わず息を呑む。
上質な家具が整然と並び、すべてが洗練されていた。
「気に入りましたか?」
そう問われ、沙夜は小さくうなずいた。
緊張で固まっている彼女の手を、司はそっと取る。
その手は温かく、迷いのない力強さがあった。
ベッドのそばまで導かれた沙夜は、胸の鼓動が早まるのを感じた。
すべてが初めてで、どう振る舞えばいいのか分からない。
戸惑いながらも、彼女の胸には別の思いがよぎる。
西園寺家ほどの由緒ある家柄に、見ず知らずの他人の血が入り込むことは決して許されない。
昨今は育ちがよくとも奔放に振る舞う女性が珍しくないが、西園寺家の跡継ぎを産む“嫁”としてふさわしいのは、厳格な環境で育ち、品位を保ち続けてきた娘だけだ。
その点、沙夜は幼稚舎から大学まで女子ばかりの環境で育ち、交友関係も申し分のない令嬢たちばかりだった。
もちろん、夜遊びや恋愛には無縁のまま大人になった。
(――私が選ばれたのは、男性経験がないから?)
そう悟った瞬間、沙夜の胸にひやりとしたものが走る。
けれど同時に、それが西園寺家のために求められている条件なのだと理解した。
小鳥のように震える沙夜を見て、司はそっと微笑む。
そして、上着を脱ぎ、ネクタイを外した。
その気配に気づいた沙夜は、思わず頬を赤らめる。
司の視線は熱を帯びていた。
沙夜は目のやり場に困り、戸惑いを隠せない。
「もしかして、初めて?」
司の問いに、沙夜は小さくうなずく。
すると彼はふっと頬を緩め、落ち着いた声で言った。
「大丈夫。リラックスして」
「は……はい」
か細い声で返事をする沙夜を、司は優しいまなざしで見つめる。
そして彼女の体にそっと腕を回し、ゆっくりと唇を重ねた。
触れた瞬間、沙夜の体の奥に熱が灯るような感覚が走る。
それは想像していたものよりずっと穏やかで、優しかった。
(これが……キス?)
戸惑いながらも、沙夜はその温もりに身を委ねてみる。
すると、少しずつ緊張がほどけていくのを感じた。
蕩けるような心地よさに身を任せていると、司の唇が徐々に力を帯びていく。
「んっ……」
思わず吐息が漏れてしまう。
しかし次の瞬間、彼女の体がピクンと跳ねた。
気づくと、沙夜の体からはワンピースがすべり落ち、司のたくましい手のひらが下着の上を彷徨っていた。
初めて感じるその刺激に、沙夜の体がピクピクッと反応する。
その様子を微笑みながら見ていた司は、彼女をゆっくりとベッドに押し倒し、滑らかな白い肌に舌を這わせ始めた。
「あっ……」
思わず声が漏れてしまう。
その声と息遣いは、徐々に大きくなっていく。
沙夜の下着はあっという間にはぎ取られ、司もすべてを脱ぎ捨てた。
目のやり場に困りながらも、沙夜は体の奥から込み上げる声を抑えきれなかった。
感度のいい沙夜に満足した司は、彼女のすべてを味わい尽くすかのように舌を動かし続ける。
次々襲いくる強い刺激に、沙夜の体は徐々に潤っていく。
やがて司は、次の段階へと進んだ。
「えっ? あっ、あの……」
避妊しようとしない司に気づいた沙夜は、急に慌てた。
経験がなくても、結婚前の男女に配慮が必要なことくらい分かっている。
しかし司は、沙夜の不安を気に留める様子はなかった。
「大丈夫。俺たちは結婚するんだから」
「そ、そうですけど……」
戸惑う沙夜の気持ちとは裏腹に、司は迷いなく彼女の足を大きく開いた。
次の瞬間、沙夜の体に鋭い痛みが走り、思わず声を上げる。
「痛っっ……」
「力を抜いて……」
沙夜は痛みに耐えながら、これが“ひとつになる”ということなのだと理解した。
痛みはしばらく続いたが、途中司が何度も声をかけ、優しく抱きしめてくれたおかげで、恐怖と緊張でこわばっていた彼女の体は、少しずつほぐれていく。
「あぁっ……あっ……あっ」
その声のリズムは、司の動きとひとつになる。
口から漏れる声を塞ごうと、沙夜が自分の口に手を当てようとすると、司がやんわりそれを制した。
「もっと声を出して……」
「でっ……でも……」
「いいから」
「あぁっ……あっ、あんっ……」
沙夜のなまめかしい声がスイートルーム内に響き渡る。
恍惚とした表情を浮かべる沙夜を見て、司は額に汗をにじませながら満足そうに頬を緩めた。
そして訪れた最後の瞬間――
「ああーっ……」
沙夜の脳裏には笑顔を浮かべる三国怜央の姿がよぎった。
それと同時に頬を涙が伝う。
司はそれを痛みによる涙だと勘違いしたようだ。
「ごめん……痛かったね」
そのまま誤解してほしかった沙夜は、小さくうなずいた。
そして、泣いている顔を見られないよう、司の胸に顔をうずめる。
少し休んだあと、沙夜はもう一度司に抱かれた。
夕暮れまで仮眠を取ったあと、司は沙夜のためにルームサービスで夕食を手配してくれた。
静かな部屋で味わう一流ホテルのディナーは、絶品だった。
食事を終えると、二人はホテルを後にした。
司は自分の車で沙夜を家まで送り届けてくれた。
玄関に足を踏み入れた途端、義母の美智子が沙夜を迎えた。
「ただいま帰りました」
「お帰りなさい。遅かったのね」
「すみません……」
「お夕飯は?」
「食べてきました」
「そう。お父様が応接室でお待ちよ」
「はい……」
靴をそろえ立ち上がった沙夜を、美智子がふと見つめ、わずかに眉を上げた。
「首元……赤くなってるわ」
その意味に気づいた瞬間、沙夜は心臓が跳ね、思わず首に手を当てる。
美智子はコートハンガーから自分のスカーフを取り、無言で差し出した。
「これを掛けていきなさい」
「……すみません。ありがとうございます」
沙夜が頭を下げると、美智子は表情を変えぬまま、静かにキッチンへと消えていった。
応接室に入ると、父・公彰が待ち構えていたように立ち上がる。
「お帰り、沙夜。遅かったじゃないか」
見合いの初日に夜まで帰らなかった娘を見て、公彰は上機嫌だった。
きっと相手と意気投合し、話が弾んだのだろうと、都合よく解釈したのだ。
沙夜が司との婚約を告げると、公彰は目を見開き、喜びを隠しきれない様子だった。
まさか、こんなにもとんとん拍子に話が進むとは思っていなかったのだろう。
その夜、二人の結婚は正式に決まった。
コメント
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どうしても幸せな結婚の始まりの感じがしない😢お父さんの喜びと沙夜ちゃんの気持ちが離れすぎている様で最初から😢😢😢
一つになった瞬間に他の異性のことが脳裏をよぎる沙夜ちゃん 誰にも何も聞けない沙夜ちゃんと家族の喜びの温度差が辛い…💔
紗夜ちゃんの、家の為に全て受け入れる気持ちが切ない😢 司さんとの結婚が、幸せなものになるといいんだけど…🥹 これから2人の気持ちがどう動いていくのか気になります…✨️