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「ああ……そうなんだね。……俺は死んでしまった妹を探すためさ。ずっと昔から地獄の入り口を探しているんだ。今じゃ、ちょっとした地獄マニアさ。妹を助けるためなら何だってする! そして、死ぬほど怖いけど……本物の地獄へやっと来れたんだ! やったぜーー!! あはははは……何故か……なあ……妹は……冤罪の感じがするんだ。優しい子だったんだ」
「はあ、それはお辛そうですね。ここは八大地獄と呼ばれているところです。死者はその罪の大きさによって、それぞれ最下層へと向かうところなんです」
「はっ、八大地獄ー?! うひゃあーーー! こえけど、やっっったぜーー! 八大地獄ならよく知っているよ! 等活地獄。黒縄地獄。衆合地獄。叫喚地獄。大叫喚地獄。焦熱地獄。大焦熱地獄。それに阿鼻地獄とあるんだよな」
「ええ、良くご存知で」
音星がハッとして。、急に俺の後ろの方へ目を向けてから、口をキュッと結んだ。
。
そして、口を開き静かに言った。
「あの火端さん。走れますか? それもかなり速く?」
「え??」
俺は自分の真後ろを見た。
途端に、驚いた。
「また、あいつか?!」
「逃げましょう!」
八天街にいた。
魑魅魍魎のろくろ首だ。
激しい強風の中だというのに、物凄く長い大蛇のような首を円を描くように、洞窟の上下左右の壁面に素早く這わせてきた。そして、俺たちを追い掛け出した。ろくろ首の体自体の走りはあまり速くはないが。それでも、俺と音星は全速力で洞窟の風の中を奥の方へと走った。
「風! 強すぎないか! 足が鈍くなってくる! このままじゃ喰われてしまうぞ!」
「平気です! あっち! もうすぐ出口ですから!」
その音星の言葉通りに、洞窟の行き止まりに差し掛かると。ちょうど、T字路になっていた。左手の道へ音星は走った。俺もそっちへと走ると、この洞窟の出入り口が見えた。でも、なんだか洞窟の出口が真っ赤になっている。
「この先は等活地獄です! 熱いですので、気を付けて下さい!」
「ああ、あの殺生をした人が堕ちる最初の地獄か! 針山とかがあるんだっけ!」
「そうです! よくご存知ですね!」
等活地獄は、針山を歩かされる刑に、真っ赤に焼けた鉄岩の上で体を切断される刑がある。そして、それらの刑は一度ではない。死んでも蘇生させられ、それが繰り返されるといわれるている。
「地獄マニアだからな! 行くのは初めてだが!」
「あ、もう一つ気を付けて下さい! この先、至る所に針山があるんです! 大きい山なんですけど、うっかり気を抜くと地面にも生えている小さな針山を踏んづけてしまいます!」
「わかった!」
洞窟の出口を音星と出た。
まだ、ろくろ首の蛇のような長い首が追い掛けてきていた。
等活地獄は、地獄だけあって、ぶすぶすと煙を上げ。焼けた鉄岩が散乱していた。地獄の鬼たちが、生前は罪人だったはずの半透明の人型である魂を、鉄岩に括り付けては焼いている。その背後には、巨大な針山の山々が聳えていた。