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いじめのはずがプロポーズでした

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いじめのはずがプロポーズでした

18 - 第18話 転校生と黒板消しの出会い

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2025年09月01日

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学期の始めでもない、中途半端な時期。

二年B組の教室に転校生が現れた。


「よっ! 今日からこのクラスにお世話になりまーす! 大地って言います! よろしくな!」


前の学校のブレザーは色もデザインも違って、ひとりだけ場違い。

それでも大地は人懐っこい笑顔を浮かべて、クラス全員に手を振った。


(……なんだ、あのバカみたいに明るいの)


クラスの中心にいる隼人は、腕を組んでじっと大地を観察していた。

目立ちすぎる転校生。しかも自分の席のすぐ後ろに配置される。

何かイラッとする。

だから隼人は、いつものように「歓迎のいじめ」を仕掛けることにした。




翌朝。

大地が教室に入ると――黒板消しがぱふっと頭に直撃した。

チョークの粉が白く舞い、髪も肩も真っ白になる。


「……うわぁ!」


クラスがクスクス笑う。

隼人は机に足を投げ出し、わざとらしく言った。


「よう、転校生。ウチの学校の挨拶だ」


普通なら気まずくなるはず。だが大地は頭をバサバサさせながら、にやっと笑った。


「サプラーイズ! すげー! これ漫画でしか見たことねぇ!」


「……は?」


「歓迎イベントありがとな! 今日から俺、ネタの神様に愛されてるかもしれねぇ!」


クラスがどっと笑い、大地は深々とお辞儀をした。

「今後もよろしくお願いします!」と。


(……なんだこいつ。全然効いてねぇ)


隼人は眉をひそめるが、心のどこかでざわついていた。




昼休み。

隼人は机に画びょうを仕込んでみた。

大地が座ると――「いてっ!」と跳ね上がる。


(よし、今度は効いただろ)


……が、大地は画びょうを摘まみ上げ、にっこり笑った。


「ピッカピカの画びょうゲット〜! 俺、今日からコレクション始めるわ!」


「……はぁ?」


「ありがとな隼人! 初コレクション記念日だ!」


周りがまた笑う。


(おいおい、なんで“ありがとう”になるんだよ……!)




放課後。最後の仕掛けは靴箱。

隼人は水を入れたバケツをセットした。

大地が靴を取った瞬間、ざばーっと頭から水をかぶる。


「うわっ! 冷てぇぇぇ!」


「これで少しは大人しくなるだろ」


しかし――大地は濡れた髪をかきあげ、にやっと笑った。


「見ろよ隼人! 俺、今日から水も滴るイケメン転校生!」


「…………」


残っていた生徒数人が爆笑。


隼人は呆れながらも、思わず笑いそうになるのを必死にこらえていた。


(……なんでだ。普通は凹むだろ。なんでコイツだけ、俺のいじめが効かねぇんだよ……?)


それが、隼人と大地の奇妙な関係の始まりだった。


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