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体育の授業。今日はバスケットボール。
「よーし、二人一組でペア作れ!」
先生の声が響くと同時に、大地は隣の席の柊に声をかけられた。
「なあ、大地。一緒に組もうぜ」
「おっ、いいぞー!」
と即答する大地。柊はにやっと笑い、手を差し出す。
二人が楽しそうに拳をコツンと合わせた、その瞬間――。
「待て!」
どすんと割り込んできたのは隼人だった。
「大地は俺と組むから」
「え、でももう俺と――」
柊が言いかけると、隼人は腕を組んで睨みをきかせる。
「……ダメだ。大地は俺専用だ」
「専用!?」
大地と柊が声を揃えて驚いた。周囲からも「は?」「何それ」とざわめきが起きる。
大地は首を傾げつつも笑った。
「なんだよ隼人、俺を取り合ってくれるの? モテモテだなぁ俺!」
「ふざけんな! ……ち、違う! お前は放っとくと変なやつと組むから、俺が面倒見てやるだけだ!」
「へー、過保護~!」
「だまれ!」
その様子を、コート脇で見ていた萌絵と涼は大興奮。
「やっば! 嫉妬ムーブきました!」
「『俺専用』って聞いたか? 完全に口走ったな」
「尊い……!」
萌絵は震える手でノートを取り出し、必死に何かを書き込んでいる。
結局ペアは隼人と大地に決定。
試合が始まると、隼人は常に大地の近くをガードしていた。
「おい、大地! ボール持つな! 危ねえから!」
「いや俺も試合出たい!」
「ダメだ!」
「なんで俺だけ見学者扱い!?」
「お前がケガしたらどうすんだよ!」
「心配性彼氏か!」
大地の一言に、隼人は盛大にむせた。
試合後、汗だくで水を飲む大地の横に柊が近づいた。
「なあ、大地。やっぱお前、おもしれーな。今度は一緒に組もうぜ」
にこにこと笑う大地に、隼人が割って入る。
「……却下だ」
「お前、何様だよ」
柊が呆れ顔をする。
「俺は……!」
言いかけた隼人は、ぐっと口を噤んだ。
大地が首をかしげて笑う。
「隼人ってば、ほんっとおもしろいな!」
そのやりとりを遠巻きに見ていた萌絵と涼。
「嫉妬で空回りする隼人と、無自覚にモテる大地……三角関係爆誕じゃん」
「柊がここでどう絡むか、今後の展開が熱いな」
「連載化いける……!」
そして当の本人たちは気づかぬまま、今日も教室の恋愛(?)模様は混線していくのだった。