日下部
遥さ
遥
なに
日下部
自分で気づいてない癖、あると思う?
遥
……分からない
蓮司
あるある
遥、話しかけられると、
一回息止める
遥、話しかけられると、
一回息止める
遥
……え
日下部
確かに
返事する前に、
一拍ある
返事する前に、
一拍ある
遥
……止めてるつもりは……ない
蓮司
無意識ってやつだな
遥
……変?
日下部
変じゃない
身構えてるだけだ
身構えてるだけだ
遥
……身構える……
蓮司
あとさ、
誰かの声が大きいと、
肩ちょっと上がる
誰かの声が大きいと、
肩ちょっと上がる
遥
……それも……知らなかった
日下部
防御反応だろ
遥
……怒られる気が……する……
蓮司
今ここで?
遥
……癖……抜けない……
日下部
癖って、
生き延び方の名残だからな
生き延び方の名残だからな
遥
……じゃあ……
悪い癖じゃ……ない?
悪い癖じゃ……ない?
蓮司
必要だった癖だろ
日下部
役目終わっても、
体は覚えてるだけだ
体は覚えてるだけだ
遥
……勝手に……
謝るのも……癖……
謝るのも……癖……
蓮司
それは自覚あったか
遥
……怒られないように……
先に……
先に……
日下部
それも、
ちゃんと理由ある
ちゃんと理由ある
遥
……直さなきゃ……
いけない?
いけない?
蓮司
無理に直さなくていい
日下部
“気づく”だけで十分だ
遥
……気づく……
蓮司
気づけたら、
今日は止めなくてもいいな、
って選べる
今日は止めなくてもいいな、
って選べる
遥
……選べるのは……
少し……いい……
少し……いい……
日下部
癖に支配されるか、
一緒に暮らすかの違いだな
一緒に暮らすかの違いだな
遥
……一緒に……暮らす……
蓮司
嫌いな同居人みたいなもんだ
遥
……それなら……
追い出さなくて……いい……
追い出さなくて……いい……
無意識の癖は、遥が生き延びてきた証だった。
責めるものじゃないと、少しだけ分かった気がした。






