遥
……なあ……
蓮司
どうした
遥
……なんで……
皆……俺が……
嫌いなんだろ……
皆……俺が……
嫌いなんだろ……
日下部
……
蓮司
嫌われてる、
って思う理由は?
って思う理由は?
遥
……目……
声……
距離……
声……
距離……
日下部
態度か
遥
……話しかける前から……
決まってる……
感じ……
決まってる……
感じ……
蓮司
それ、全員?
遥
……ほとんど……
日下部
理由、思い当たる?
遥
……考えた……
何回も……
何回も……
蓮司
結論は?
遥
……分からない……
日下部
一番キツいやつだな
遥
……性格……
顔……雰囲気……
顔……雰囲気……
蓮司
全部自分側に
引き取ってるな
引き取ってるな
遥
……そうしないと……
説明が……
つかない……
説明が……
つかない……
日下部
“自分が悪い”にすると、
世界は分かりやすくなる
世界は分かりやすくなる
遥
……でも……
苦しくなる……
苦しくなる……
蓮司
嫌われるようなこと、
した覚えは?
した覚えは?
遥
……ない……
と思う……
と思う……
日下部
“してない”って言い切れないのが、もう地獄
遥
……普通に……
してただけ……
してただけ……
蓮司
普通って何だよ
遥
……目立たない……
迷惑かけない……
空気読む……
迷惑かけない……
空気読む……
日下部
それで嫌われるなら、
理不尽だな
理不尽だな
遥
……でも……
嫌われる……
嫌われる……
蓮司
もしかしてさ
遥
……
蓮司
“嫌われてる”んじゃなくて、
“扱いづらい”って思われてるだけかも
“扱いづらい”って思われてるだけかも
遥
……同じ……
日下部
似てるけど違う
遥
……何が……
日下部
嫌いは感情
扱いづらいは、
理解するのを放棄してるだけ
扱いづらいは、
理解するのを放棄してるだけ
遥
……放棄……
蓮司
要は、
分かろうとしてない
分かろうとしてない
遥
……それ……
俺の……責任……?
俺の……責任……?
日下部
違う
遥
……でも……
結果は……同じ……
結果は……同じ……
蓮司
同じだけど、
意味は違う
意味は違う
遥
……どう違う……
蓮司
嫌いなら、
理由がある
扱いづらいなら、
考える気がないだけ
理由がある
扱いづらいなら、
考える気がないだけ
遥
……考えない……
人が……多すぎる……
人が……多すぎる……
日下部
集団は特にな
遥
……じゃあ……
俺は……どうすれば……
俺は……どうすれば……
蓮司
無理に好かれなくていい
遥
……それが……
できたら……
できたら……
日下部
“嫌われない努力”は、
底なしだぞ
底なしだぞ
遥
……もう……
してる……
してる……
蓮司
だろうな
遥
……頑張って……
削って……
合わせて……
削って……
合わせて……
日下部
それで嫌われるなら、
もう相性の問題だ
もう相性の問題だ
遥
……相性……
蓮司
全員に合う人間なんて、
いない
いない
遥
……でも……
俺だけ……
外れてる……気が……
俺だけ……
外れてる……気が……
日下部
外れてるんじゃなくて、
群れの中心じゃないだけ
群れの中心じゃないだけ
遥
……中心に……
行きたいわけじゃ……
ない……
行きたいわけじゃ……
ない……
蓮司
なら、無理に寄るな
遥
……寄らないと……
殴られる……
殴られる……
日下部
……
蓮司
それは“嫌い”じゃなくて、
支配だ
支配だ
遥
……違い……
分からなかった……
分からなかった……
日下部
混ぜられると、
全部“自分のせい”に見える
全部“自分のせい”に見える
遥
……俺が……
嫌われる人間……
なんじゃ……なくて……
嫌われる人間……
なんじゃ……なくて……
蓮司
嫌われ役にされてるだけ
遥
……役……
日下部
集団には、
そういう席がある
そういう席がある
遥
……選ばれた……
理由は……
理由は……
蓮司
偶然か、
弱そうに見えたか
弱そうに見えたか
遥
……それだけ……
日下部
残酷だけどな
遥
……なら……
俺が……悪いわけじゃ……
ない……?
俺が……悪いわけじゃ……
ない……?
蓮司
少なくとも、
全部じゃない
全部じゃない
遥
……少し……
楽になる……
楽になる……
日下部
“皆に嫌われてる”って思考、
一番人を壊す
一番人を壊す
遥
……もう……
だいぶ……削れてる……
だいぶ……削れてる……
蓮司
それでも、話せてる
遥
……話さないと……
自分が……消えそう……
自分が……消えそう……
日下部
消えなくていい
遥
……嫌われても……?
蓮司
嫌われてるかどうか、
決めるのは相手だ
決めるのは相手だ
日下部
でも、
自分の価値まで
渡す必要はない
自分の価値まで
渡す必要はない
遥
……難しい……
蓮司
時間かかる
遥
……でも……
今日……少しだけ……
分かった……
今日……少しだけ……
分かった……
日下部
何を?
遥
……理由が……
分からないまま……
嫌われることも……
ある……って……
分からないまま……
嫌われることも……
ある……って……
蓮司
それが現実だ
遥
……それなら……
俺が……
全部背負わなくても……
いい……
俺が……
全部背負わなくても……
いい……
日下部
その通り
遥
……ありがとう……
誰も笑わなかった。
でも、遥の中で
“自分が嫌われる理由”という問いは、
少しだけ重さを失っていた。






