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放課後の教室。
窓から差し込む夕陽が机の上に長く伸び、隼人はその光に目を細めながらスマホをにらんでいた。
(ケーキはOK。プレゼントも、あとは……)
大地の誕生日サプライズ計画は順調。
――だった、ほんの数分前までは。
「ねえねえ、聞いた?」
萌絵がニヤリと笑って涼の肩をつつく。
「柊からグループLINE来てる。『誕生日当日、大地一緒に遊ぼうぜ』って」
「マジか」
涼が笑いをかみ殺す。
その言葉を背中で聞いた隼人は、ビクリと肩を震わせた。
慌てて自分のスマホを見ると、確かに通知。
柊:「大地、誕生日当日ヒマ? 一緒に出かけようぜ」
そして大地の返信。
大地:「いいね! 楽しそう!」
「……おいおいおい」
机に突っ伏し、額を押さえる隼人。
(俺が計画してたサプライズ……!全部パーじゃん!)
すかさず萌絵が近寄って、面白がるように覗き込む。
「隼人、顔が真っ青。サプライズ計画してたでしょ?」
「うっ……」
図星すぎて言葉が出ない。
涼も腕を組み、にやり。
「柊、ナイスジャマーだな。で、どうする? 当日カブるよ」
「ど、どうするって……!」
隼人は頭を抱えた。
(大地、なんで即答すんだよ!せめて相談してくれれば……いや、相談されたらサプライズにならないけど!)
萌絵はさらにからかうように囁く。
「ねえ、柊に先こされた感あるよね。悔しい?」
「……そりゃ、ちょっとは……」
そのときドアが開き、大地が明るい笑顔で入ってきた。
「やっほー。みんな、何してるの?」
無邪気な声に、隼人はさらに心の中でジタバタ。
(言えるか!“お前のために秘密計画してたのに!”なんて!)
涼と萌絵は目配せして小さく笑う。
「ま、計画はまだ終わってないよ、ね?」
「……そう。まだ巻き返せる」
隼人は小声でつぶやき、再びスマホを握りしめた。
その横顔を見て、萌絵と涼は「これは面白くなる」と目を輝かせた。