TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

朝の教室に、ほぼ同時にスマホの通知音が連なった。


「え、なにこれ」


「やば、爆笑」


数秒後、ざわつく声があちこちで弾ける。


「おい見て、クラスLINEのアイコン!」


誰かがスマホを掲げる。そこに映っていたのは、大地と隼人が肩を寄せて笑っているツーショット写真。

文化祭の帰り、無邪気に撮った一枚だ。


「ははっ、最高じゃん!」


大地が一番に吹き出した。


「これ、記念にこのままでもいいんじゃね?」


悪びれず、むしろ面白がってみんなにスマホを見せびらかす。


「おい!誰だよ勝手に!」


隼人が慌ててツッコミ、机を軽くドンと叩く。

口では怒鳴りながらも、口元がほんのわずか緩んでしまう。


(……まあ、変な写真じゃないし。大地と一緒、嫌じゃないし)


心のどこかでそんな考えがちらりと浮かび、隼人は自分で自分にむっとする。


そのとき、背後から軽い声。


「俺が撮ったんだけど? いいアングルだろ」


振り返ると柊がニヤリと笑い、スマホをひらひらさせていた。


「柊、お前か!」


クラスの視線が一斉に集まり、柊は肩をすくめてさらに笑みを深くする。


隼人は思わず眉をひそめた。


(……柊が撮ってたのか。なんでわざわざ大地との写真を)


胸の奥がわずかにチクリとする。

自分でも理由のわからない、けれど確かにそこにある小さなざらつき。


「決まりだな、これ放置!」


大地が満面の笑みで宣言する。


「待て待て待て、削除しろって!」


隼人が慌ててスマホを取り出すと、クラス中がさらに盛り上がった。

柊は「人気者はつらいなぁ」と涼しい顔。


結局、隼人がアイコンを戻すまで笑い声は止まらなかった。

でも画面を閉じる瞬間、心の奥底で


――ちょっと惜しい。


そう感じてしまったことを、隼人は誰にも言わない。



いじめのはずがプロポーズでした

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚