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高校二年生・仮名:Yさん
人と話すのは普通にできます。
友達もいます。
でも、仲良くなりすぎるのが怖いです。
距離が近くなると、急に引きたくなります。
嫌いになったわけじゃないのに、連絡を避けたり、少し距離を置いたりしてしまいます。
相手に悪いとも思うし、自分でもよく分かりません。
深く関わるのが怖いのっておかしいでしょうか。
遥
「おかしくない」
Yさん
「……」
蓮司
「むしろ筋通ってる」
Yさん
「筋」
日下部
「近づくほどリスクも増える」
Yさん
「リスク」
遥
「傷つく可能性」
短く言う。
Yさん
「……」
小さく頷く。
蓮司
「浅い関係ならさ」
肩をすくめる。
「失ってもダメージ少ない」
Yさん
「はい」
遥
「でも深くなると」
少し間。
「影響が大きくなる」
Yさん
「……」
日下部
「だから無意識にブレーキがかかる」
Yさん
「ブレーキ」
遥
「守ってる」
Yさん
「守ってる」
蓮司
「悪いことじゃない」
Yさんは少し黙る。
「でも」
小さく言う。
「相手に悪いです」
遥
「そう感じるのも自然」
Yさん
「……」
日下部
「ただ」
少し間。
「“悪いことをしている”と決めつけすぎると、余計に動きづらくなる」
Yさん
「……」
遥
「問題は」
少し視線を向ける。
「怖さがあることじゃなくて」
少し間。
「どう扱うか」
Yさん
「扱う」
蓮司
「ゼロにしようとすると無理」
Yさん
「……」
遥
「距離を全部切るか全部詰めるか」
少し言う。
「その二択になってる」
Yさん
「……はい」
日下部
「極端になりやすい状態」
Yさん
「そうかもしれません」
遥
「間を作る」
Yさん
「間」
蓮司
「ちょっと近づく、ちょっと離れる」
Yさん
「それでいいんですか」
遥
「いい」
短く。
日下部
「波があっても関係は続く」
Yさん
「……」
遥
「むしろ」
少し間。
「ずっと一定の距離の方が不自然」
Yさん
「……」
少し考える。
「でも
近づいたあとに離れると、相手に嫌われそうで怖いです」
遥
「可能性はある」
Yさん
「……」
蓮司
「でもな」
少し真面目に。
「ずっと無理して近くにいる方があとで崩れる」
Yさん
「……」
日下部
「一時的な違和感か、長期的な破綻か」
Yさん
「……」
遥
「どっちがマシか」
Yさんは黙る。
「……一時的な方です」
遥
「それ」
短く。
蓮司
「だから調整する」
Yさん
「……」
少し息を吐く。
「自分でも」
小さく言う。
「なんで怖いのか分からないです」
遥
「理由なくてもいい」
Yさん
「え」
日下部
「過去の経験がはっきりしてなくても、反応だけ残ることはある」
Yさん
「……」
遥
「“怖い”は結果」
蓮司
「原因探しすぎなくていい」
Yさん
「……」
少し安心したように頷く。
遥
「あと」
少しだけ言う。
「深く関わるって」
言葉を選ぶ。
「全部さらけ出すことじゃない」
Yさん
「え」
蓮司
「そこ勘違いしやすい」
Yさん
「そうなんですか」
日下部
「必要な分だけ開く」
Yさん
「……」
遥
「全部見せなくても関係は成立する」
Yさんは少し考える。
「じゃあ」
小さく言う。
「怖いままでもいいんですか」
遥
「いい」
即答。
蓮司
「そのままやるしかない」
日下部
「怖さが消えてから動く、だとずっと動けない」
Yさん
「……」
遥
「怖い状態で」
少し間。
「少しだけ関わる」
Yさん
「少しだけ」
蓮司
「それで十分」
Yさんは立ち上がる。
ドアの前で振り返る。
「距離を取るのってダメなことだと思ってました」
遥
「取り方次第」
蓮司
「調整ならOK」
日下部
「切り捨てとは別」
Yさんは小さく頷く。
「少しだけ関わり方を変えてみます」
遥
「それでいい」
蓮司
「極端やめるだけで変わる」
日下部
「続けられる形にするのが大事」
ドアが閉まる。
静かな空気。
蓮司が言う。
「“深くなるの怖い勢”って結構いるよな」
遥
「近いほど壊れたとき痛いからな」
日下部は静かに言う。
「距離は」
少し間。
「固定するものじゃなくて調整するもの」
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