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中学三年生・仮名:Sさん
人に頼るのが苦手です。
分からないことがあっても、できるだけ自分で何とかしようとします。
本当は助けてほしいときもあるのに、「迷惑かもしれない」と思って言えません。
頼ったあとも、「負担をかけたんじゃないか」と考えてしまって、逆にしんどくなります。
周りは「頼っていいよ」と言ってくれるんですが、どうしても遠慮してしまいます。
頼ることって、そんなにしていいものなんでしょうか。
遥
「していい」
Sさん
「……」
蓮司
「むしろ必要」
Sさん
「でも」
少し言葉を詰まらせる。
「迷惑じゃないですか」
日下部
「場合による」
Sさん
「……」
遥
「全部が迷惑ではない」
Sさん
「……」
蓮司
「ここ大事なとこな」
少し前に体を傾ける。
「“頼る=迷惑”ってまとめすぎ」
Sさん
「まとめすぎ」
日下部
「負担と迷惑は違う」
Sさん
「違う」
遥
「負担はかかることある」
Sさん
「はい」
遥
「でもそれが即迷惑とは限らない」
Sさん
「……」
蓮司
「例えば」
指を軽く立てる。
「友達にちょっと相談されるの」
少し笑う。
「迷惑か?」
Sさん
「……」
少し考える。
「内容によるかもです」
蓮司
「そう」
頷く。
「でも全部迷惑ではないだろ」
Sさん
「はい」
日下部
「相手にも“関わる選択”がある」
Sさん
「選択」
遥
「嫌なら断る」
Sさん
「……」
遥
「引き受けてる時点でその人は選んでる」
Sさん
「……」
少し黙る。
「でも」
小さく言う。
「断らせるのも悪い気がして」
蓮司
「あーそれな」
少し苦笑する。
「気遣いが一周してる」
Sさん
「一周」
日下部
「相手の選択権まで奪ってしまっている」
Sさん
「……」
遥
「頼らないことで“いい人”でいようとしてる」
Sさん
「……」
少し息が詰まる。
「そうかもしれません」
遥
「でもそれ」
少し間。
「関係としては浅くなる」
Sさん
「……」
蓮司
「頼られない側ってさ」
少し視線をずらす。
「信用されてない感じする時もある」
Sさん
「え」
遥
「全部自分で抱える人」
短く言う。
「距離ある」
Sさん
「……」
日下部
「一方通行になりやすい」
Sさん
「一方通行」
蓮司
「助ける側だけやらされるより」
少し笑う。
「お互いちょっとずつの方が楽」
Sさん
「……」
遥
「頼るって」
少しだけ言葉を選ぶ。
「負担を押し付けることじゃない」
Sさん
「……」
遥
「分けること」
Sさん
「分ける」
日下部
「分散」
蓮司
「チーム戦みたいなもん」
Sさんは少し笑う。
「でも」
小さく言う。
「頼ったあとにずっと気にしてしまいます」
遥
「それは残るな」
Sさん
「はい」
蓮司
「じゃあ方法変える」
Sさん
「方法」
蓮司
「頼り方」
Sさん
「……」
日下部
「重さを調整する」
Sさん
「重さ」
遥
「いきなり重いの投げない」
Sさん
「……」
蓮司
「小さいやつから」
Sさん
「小さい」
遥
「一言聞くとか」
蓮司
「軽い相談」
日下部
「段階を踏む」
Sさん
「……」
少し考える。
「それなら」
小さく頷く。
「できるかもしれません」
遥
「それでいい」
Sさん
「でも」
まだ少し不安そうに。
「頼るのに慣れてないです」
遥
「最初はみんなそう」
蓮司
「違和感あるの普通」
日下部
「習慣ではないため」
Sさん
「……」
遥
「回数で慣れる」
Sさん
「回数」
蓮司
「筋トレみたいなもん」
Sさんは少し笑う。
遥
「あと」
少しだけ言う。
「頼ったあとに“ありがとう”言えるなら十分」
Sさん
「……」
遥
「それでバランス取れてる」
Sさん
「……」
少し安心したように頷く。
立ち上がる。
「頼るのって悪いことじゃないんですね」
遥
「悪くない」
蓮司
「むしろ必要」
日下部
「関係を維持する要素の一つ」
Sさんはドアの前で振り返る。
「少しずつやってみます」
遥
「それでいい」
蓮司
「軽いやつからな」
日下部
「継続できる範囲で」
ドアが閉まる。
静かな空気。
蓮司が言う。
「“迷惑かも”って思うやつほど迷惑かけてない説あるよな」
遥
「気にしすぎてるからな」
日下部は静かに言う。
「むしろ」
少し間。
「抱え込みすぎの方が関係には負担になる」