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高校二年生・仮名:Kさん
前は普通に楽しめていたことが、最近あまり楽しく感じられません。
ゲームも、友達と遊ぶのも、嫌ではないけど、心から楽しいって感じがしません。
笑うことはあるけど、どこか冷めている感じがします。
つまらないわけじゃないのに、満たされないというか、空っぽな感じが続いています。
これってどういう状態なんでしょうか。
戻るものなんですか。
遥
「珍しくない状態」
Kさん
「……そうなんですか」
蓮司
「わりとある」
日下部
「“楽しさの感度が落ちている状態”」
Kさん
「感度」
遥
「前と同じ刺激でも同じ反応が出ない」
Kさん
「……」
小さく頷く。
蓮司
「ゲームとかも」
手を軽く動かす。
「やってるけど刺さらない感じ」
Kさん
「それです」
遥
「原因はいくつかある」
Kさん
「何ですか」
遥
「疲れ」
短く。
「ストレス」
少し間。
「慣れ」
Kさん
「慣れ」
日下部
「刺激に対する適応」
Kさん
「……」
遥
「あと」
少しだけ言葉を選ぶ。
「余裕が減ってるときもなる」
Kさん
「余裕」
蓮司
「頭が別のことで埋まってる状態な」
Kさん
「……」
思い当たるように黙る。
遥
「楽しいって」
静かに言う。
「“余白”がないと感じにくい」
Kさん
「余白」
日下部
「常に何かを処理していると、感情の処理が後回しになる」
Kさん
「……」
少し沈黙。
「じゃあ」
小さく言う。
「どうすれば戻りますか」
遥
「“戻そうとしない”」
Kさん
「え」
蓮司
「そこ引っかかるよな」
遥
「楽しいを無理に取りに行くと」
少し間。
「余計感じなくなる」
Kさん
「……」
日下部
「期待値が上がるためだ」
Kさん
「期待」
遥
「“楽しまなきゃ”って思うほど」
蓮司
「ズレる」
Kさんは黙る。
「でも」
小さく言う。
「このままだと嫌です」
遥
「分かる」
短く。
蓮司
「じゃあ方向変える」
Kさん
「方向」
遥
「楽しいじゃなくて」
少し言う。
「“負担が少ないもの”を選ぶ」
Kさん
「負担」
日下部
「快ではなく低ストレスを基準にする」
Kさん
「……」
遥
「例えば」
少し考える。
「何も考えなくていいこと」
蓮司
「ぼーっとできるやつ」
Kさん
「……」
少しだけ考える。
「散歩とか」
遥
「いい」
短く。
日下部
「刺激が弱いものの方が回復には適している場合がある」
Kさん
「回復」
遥
「今は」
少し間。
「楽しむ状態じゃなくて戻る途中の状態」
Kさん
「途中」
蓮司
「リハビリみたいなもん」
Kさんは少し苦笑する。
「それなら」
遥
「変じゃない」
Kさん
「……」
少し安心したように息を吐く。
「あと」
小さく言う。
「笑ってるのにどこか冷めてる感じがするのが怖いです」
遥
「ズレてる感じな」
Kさん
「はい」
日下部
「感情と反応のタイミングが一致していない状態」
Kさん
「……」
遥
「それも起きる」
短く。
「問題ではあるけど異常ではない」
Kさん
「……」
蓮司
「一時的なこと多いしな」
Kさん
「戻りますか」
遥
「戻る可能性は高い」
Kさん
「……」
少し安心したように頷く。
日下部
「ただし」
静かに言う。
「無理に引き戻そうとすると長引く可能性がある」
Kさん
「……」
遥
「焦らない方がいい」
Kさん
「難しいです」
遥
「普通」
蓮司
「むしろ焦る」
Kさん
「……」
遥
「でも」
少しだけ柔らかく。
「今の状態を“ダメな状態”にしない方がいい」
Kさん
「ダメじゃない」
遥
「一時的な状態」
日下部
「過程として扱う」
Kさんはしばらく黙る。
「空っぽな感じが」
小さく言う。
「ずっと続く気がしてました」
遥
「ずっとではない」
短く。
蓮司
「変わる」
日下部
「状態は固定されない」
Kさんは立ち上がる。
ドアの前で振り返る。
「楽しくなろうとしすぎてたかもしれません」
遥
「それ外すだけでも違う」
蓮司
「楽しくなくてもいい時間、作っとけ」
日下部
「回復には余白が必要だ」
Kさんは小さく頭を下げた。
ドアが閉まる。
静かな空気。
蓮司が言う。
「“楽しくない”って地味にきついよな」
遥
「感情が薄い状態だからな」
日下部は静かに言う。
「強い苦痛ではないが」
少し間。
「持続すると確実に消耗する状態だ」
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