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蓮司の相談室2

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蓮司の相談室2

44 - 第44話 部活を辞めたくて仕方ないのに、辞めたら負けかなと思って言えない

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2025年11月13日

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放課後の相談室。

部活帰りの生徒の足音が廊下に響いて、すぐに静かになった。

ドアの向こうで、制服の袖を握りしめた子が、ためらうように立っていた。


「……あの、部活、もう辞めたいんです」


小さな声。


「でも、辞めたら負けかなって……ずっと思ってて」


蓮司は、資料を閉じて椅子にもたれた。


「“負け”って、誰に対して?」


その問いに、相手は言葉を詰まらせる。

しばらくして、ようやく出たのは、震えるような答えだった。


「……自分、です。途中で投げたくないだけで……でも、もう体が動かなくて」


窓の外では、夕陽がグラウンドを赤く染めている。

走る部員たちの掛け声が、遠くに聞こえた。


蓮司は少しだけ笑って言う。


「続けるのも勇気だけど、やめるのも勇気だよ。 限界の先で頑張るのは、勝ち負けの話じゃない。ただ、壊れちゃうだけだ」


言葉のあと、沈黙が落ちた。

その沈黙の中で、相手の肩が少しだけ震えた。

たぶん――ようやく、泣けたのだと思う。


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