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冬季休暇明けの土曜日。
二〇二七年がスタートし、志絵は立川駅北口から徒歩数分の『居酒屋フットボール』に来店していた。
高校一年生のクラス会が毎年立川で行われ、三年ほど前から居酒屋フットボールを貸し切って開催されている。
「こんばんは! 久しぶり〜っ!」
「おおっ! 総長、ご無沙汰だな! 相変わらず声がデカくて元気じゃん」
志絵は木製のドアを開けると、既にメンツが集まっていて、店のオーナーでもあり、一年八組の学級委員長だった『インチョー』こと南伊 享が、ニカッと笑いながら出迎える。
「ちょっと! もう総長って呼ぶの、いい加減やめてよねっ!」
「ってか、今さら『坂口』って呼ぶのも変だろ? 総長は、大人になってもやっぱ総長なんだってば。まぁとりあえず入んなよ」
高校時代からのあだ名で呼ばれた志絵は、困惑気味に目尻を下げながらテーブル席に腰を下ろす。
彼女は同席していたクラスメイトと、軽く挨拶を交した。
ダークブラウンを基調とした広い店内には、奥に巨大なテレビモニターが鎮座し、四人掛けのテーブル席がランダムに十卓以上設置されている。
スポーツ観戦ができる居酒屋として立川では有名であり、結婚式の二次会でも利用される事が多いらしい。
「志絵。久しぶりじゃん!」
「亜美、超絶久々だね! 元気?」
声のする方に顔を向けると、元一年八組かつ吹奏楽部でも一緒だった親友、南伊 亜美亜美が、志絵におしぼりを差し出す。
オーナーの享と亜美は高校一年の頃から付き合っていて、三年前に結婚。
サッカー部のイケメン学級委員長、享と、吹奏楽部で部長を務め、美人トランペット吹きと言われた亜美のカップルは、学年で特に有名なカップルだったのを、志絵は思い出す。
明るいストレートの艶髪を後ろに束ね、パッチリとした瞳と可愛らしい顔立ちの亜美は、結婚してから美しさに磨きが掛かり、艶っぽさが増したように見えた。
「ねぇ。亜美とインチョー、結婚してどれくらい?」
「ん〜…………もうすぐ三年になるよ」
「はやっ! ってか亜美、すっかり『女将さん』じゃん!」
白いTシャツとデニムに、『居酒屋フットボール』の刺繍が入ったネイビーブルーのエプロンを纏っているインチョーと亜美に、志絵はそれぞれ目線を配りながら微笑む。
各テーブルには、沢山の料理と酒類、ソフトドリンクが運ばれ、乾杯の準備が整っている。
そろそろ開宴なのか、南伊夫妻が巨大モニターの前に並んで立つと、インチョーこと享がマイクを手に取った。
「元一年八組の皆さん、明けましておめでとうございます! そして今日はお集まり頂き、本当にありがとうございます! 今年のクラス会も楽しんでいきましょう! では、乾杯!!」
「カンパ〜イ!!」
クラスメイトの大きな掛け声と、グラスを合わせる澄んだ音が店内に響き渡り、一年振りのクラス会がスタートした。
コメント
1件
あらためてクラス会のシーン、すごく温かくてほっとしました。志絵ちゃんが「総長」って呼ばれて照れてる様子とか、インチョーこと享くんと亜美ちゃんのほっこりした関係性とか、一つひとつの描写から「ああ、この人たち、本当に長い付き合いなんだな」って伝わってきて。 特に亜美ちゃんの「女将さん」感が増してて綺麗な奥さまになってるところ、何だかじんわり来ました。結婚3年って言ってたけど、パートナーと一緒にお店やってる姿って、すごく理想的な形だなって思います。 新年のクラス会、みんなで「カンパ〜イ!」って乾杯する空気感が目に浮かぶようで、読んでいて自然と口元が緩みました☺️ 次はどんな再会や会話が飛び出すのか、楽しみにしてます!