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真白は窓の外の光を見つめながら、胸の奥に湧き上がる決意を感じていた。白い花の香りがまだ指先に残る。手のひらに伝わる温もりは、アレクシスが現実の世界で存在していた証だ。
しかし、その姿は徐々に薄れ、手を伸ばしても確かに掴めない。
「もう……迷わない」
小さく呟き、真白は深く息を吸い込む。
現実の痛みも、胸の奥に残る切なさも、すべて抱きしめる覚悟があった。
「もう一度、君に会うためなら」
霧の庭の記憶が胸に蘇る。幼い頃の約束、前世での別れ、そして再会の瞬間――すべてが光のように重なり合う。
光が窓を満たし、現実と夢の境界が揺れ始める。
手のひらの温もりが微かに揺れ、目の前にアレクシスの輪郭が浮かんだ。
「真白……」
その声に、胸の奥が熱くなる。
アレクシスは微笑み、しかしその輪郭は揺らぎ、光と霧の中に半透明の影を落としていた。
「恐れなくていい。俺たちは、きっとまた巡り会える」
真白は手を伸ばし、指先でその影を確かに掴む。
痛みと温もりが同時に胸を貫き、魂の深いところで響く。
「現実でも夢でも、君を探す」
心の中で、再び誓う。
光が膨らみ、霧の庭が窓を満たす。
真白の胸に、幼い日の誓いが強く刻まれる。
「魂が約束を覚えているのなら、何度でも、僕は君を見つける」
アレクシスはそっと手を重ね、微笑む。
「その言葉を、ずっと待っていた」
霧が光に変わり、庭の花びらが舞い落ちる。
二人の魂は重なり、世界の揺らぎの中でも確かに繋がった。
現実の世界はまだそこにある。痛みや別れの余韻も残る。
だが真白は迷わない――夢の世界で、星の庭で、アレクシスと再び歩むことを選んだのだ。
最後に微笑むアレクシスの姿が、光の粒となって真白の胸に溶け込む。
「さあ、行こう……」
手を取り合い、二人は霧の庭へと歩き出す。
光の中、魂が重なる感覚。前世から続く約束は、ついに新たな章を迎えようとしていた。
胸の奥の痛みは残る。
現実の世界は完全には消えない。
だが二人の選択は明確だった――約束のために、そして再会のために。
霧の庭の花びらが舞い上がり、光と影が混ざり合う。
二人の魂は重なり合い、星の庭での新たな物語へと繋がっていく。